sitteの作業風景。品質管理を担当する田端さんのOKが出るまで、ひたすら磨き続ける

プロジェクトがスタートしたのは2018年のこと。「認知症であってもできることはたくさんある。笑顔で人生を楽しみ、人の役に立ちたいという利用者の願いを『知って』ほしい」という思いから名付けられた。

活動内容はお惣菜の調理販売、駄菓子屋、刺し子の商品製作など多岐にわたる。特に活動の柱として評判を呼んでいるのが、京都産の木材を使った木工製品の「仕上げ作業」の質の高さだ。

これまで、まな板、カッティングボード、ツボ押し棒、木製コースターなどを手がけてきた。中でも前述のオリジナルブランドのまな板は、その品質の良さから、京都市のふるさと納税の返礼品にも選ばれたほど。

作業は毎週月曜日の14時から1時間。デイサービス利用者の中から希望する人が2階の「仕事場」に上がって作業をする。毎回平均で10人弱が参加し、作業前には出席簿にスタンプを押して士気を高めるのも忘れない。その後、今日の作業と作るものについて説明を受ける。田端さんはこう話す。

「これはお金が目的の内職ではありません。だからこそ、何のために仕事をするのか、どういう人の手元に届くのかをちゃんとお伝えして、社会とのつながりを意識してもらうことを大切にしています」