昭和の価値観を手放そう
荻原 『三千円の使いかた』では、登場人物のおばあちゃんが、「人は三千円の使いかたで人生が決まる」と言いますよね。
原田 はい。三千円くらいの少額のお金で買うもの、選ぶものが人生を形作るのではないかと、それが作品のテーマになっています。欲しいものをすぐに買うのか、貯めて使うのか……。
荻原 一度考えてみると、自分のお金に対する価値観がわかりそうですね。
原田 私はシニアから若い世代までの生の声や実態が知りたくて、ツイッターやユーチューブをよく見るのですが、若い人は、自分の価値観でお金を上手に使っているなと思います。
あるユーチューバーの女性は、古い6畳ほどの部屋に住み、ほとんど物を置いていない。でも、そこは駅近で、勤務先にも近くて便利。さらにペットにはお金を費やすけれど、自分にはお金をかけません。それが彼女にとっての「豊かさ」なのです。
荻原 なるほど、物質的な豊かさだけじゃないんですね。私も最近、思うの。今の時代はお金の多さと豊かさがイコールではない、と。
原田 たしかに、そうですね。