荻原 高度経済成長の時代は、お金を稼いで家を持ち、家族でハワイに旅行して……と、お金があって使えることが、豊かさの指標でした。でも今は、すっきり暮らしたい、という人も多いでしょ。

お金や権力を握っている人より、本当に気に入ったものだけを持ち、精神的に豊かに暮らすほうが知的で素敵。そういう方向に時代が変わっている気がします。

原田 私も含め、上の世代ほど周りの目を気にして、みんなと同じようにしなきゃみっともないという意識がありますよね。

荻原 バブル時代は、若い女性がこぞって高級ブランドのバッグを買っていました。一生モノとか言って。その時の若者が今の50、60代。価値観の変革が必要です。

原田 その点は今の若い人を見習って、自分の価値基準を持つことが大事かな、と。歳をとるほど、お金や健康など、いろいろ差が出てきちゃう。だからこそ、人と比べたりせず、自分が〈豊かに〉暮らせる基準に沿った行動やお金の使いかたができるほうが幸せだと思います。

荻原 お金って、心配し出すとキリがないんです。特に今は何かと老後不安をあおられる世の中でしょう。でも未来は日々の延長でしかないから、今日をきちんと生きていれば、未来も大丈夫。

原田 荻原さんにそう言われると、ホッとします。今日はありがとうございました。