厚切りジェイソンさん(左)と原田ひ香さん(右)(撮影◎本社・八木沼卓)
「Why Japanese people?!」というツッコミで知られるお笑い芸人・厚切りジェイソンさんは、投資家としてもお馴染みの存在です。著書『ジェイソン流お金の増やし方』に、若くしてFIRE(不労所得による経済的自立をした上での早期退職)が可能となる資産を築いたプロセスを明かしたことが話題になりました。 一方、原田ひ香さんの小説『三千円の使いかた』も、三世代に渡る心温まるストーリーを通じて、お金の知識も身につくと評判を呼んでいます。対談は、ジェイソン流の辛口トークが炸裂、笑いの絶えない時間となりました。お二人の日常の「お金の使い方」から、生い立ち、これまでの歩みについて伺いました。(構成◎岡宗真由子 撮影◎本社・八木沼卓)

アメリカ育ちであっても倹約家

原田 こんにちは!「移動手段はいつも徒歩」と本に書かれていましたが、今日も歩いていらっしゃったのですか?

ジェイソン はい、こちら(中央公論新社@大手町)までは2時間くらいでした。お金も使わないし、健康にもいいですよ。

原田 ジェイソンさんは、IT会社役員をされながら、芸人さんをされているんですよね。収入はほとんど投資に回されているとか。

ジェイソン はい、仕事ではリスクをとる方ですけど、投資に関してはすごく手堅くて保守的です。「支出を徹底的に減らして、残りを投資に回して、長期間待つ」というシンプルな方法。僕は選択の自由を手に入れるために普段は節約して、お金を運用するのがいいと思っています。

原田 アメリカの方はクレジットカードで借金してまでバンバン買い物をするイメージがありますけど、ジェイソンさんのご家庭はそうではなかったのですか?

ジェイソン うちは父がリストラされて事業を始めたので、僕が子どもの頃それほど裕福ではなかったんです。母は割引券を活用したり、スーパーをはしごしたりして節約していました。母は「お父さんは働いてお金を増やしているけれど、お母さんはお金を大事にすることで、同じようにお金を増やしているのよ」と言っていました。

原田 アメリカ育ちであっても、自然と支出を抑える生活が身についたんですね。私の父は大学の教員で公務員ということもあり、ずっと「うちは貧乏なんだ」と思っていました。私が幼稚園の頃、カラーテレビが発売されました。両親が「カラーテレビ欲しい?」と私に聞いたところ、「私の目にはカラーに見えるから大丈夫だよ」と気遣ったそうです。健気ですよね。(笑)

ジェイソン そこまで子どもに気遣われたら、親は喜ぶというより傷ついたんじゃないですか?!

原田 あはは! どうでしょうか。おかげさまで今も節約は習慣になっていますね。

ジェイソン 僕も3人の娘の父親ですが、彼女たちに頭ごなしに「お金を使うな」とは言いません。「お金は使わずに持っていた方が増えていくこと」、「賢い使い方があること」などをいつも言い聞かせています。理由も言わずに締め付けたら、子どもは将来親の目がなくなった途端「浪費家になってやろう」と思いますよ。子どもは親の背中を見て育ちますね。

原田 そうかもしれません。

原田ひ香さん(撮影◎本社・八木沼卓)