『ジェイソン流お金の増やし方』(著:厚切りジェイソン/ぴあ; New版)

題名は『節約物語』『節約家族』だったかも

原田 ジェイソンさんの本は、お金の解説だけじゃなく小説っぽいところから入るのがおもしろかったです。海外の経済に関する本は、小説的な書き出しが魅力的なことが多い印象があります。『金持ち父さん貧乏父さん』なんかもそうでした。ジェイソンさんの子供時代とか日常の暮らしを語る導入部が面白かったです。

ジェイソン まあ、僕の本の場合は、オススメしたい投資の内容があまりにもシンプル過ぎて、他のこと書かざるを得なかったです。そうでないと本が2行で終わってしまいますから。

厚切りジェイソンさん(撮影◎本社・八木沼卓)

原田 いえいえ、ジェイソンさん自身の具体的な節約のお話があったから、投資の話が入ってきやすかったですよ。

ジェイソン はい、全て私が実践していることです。

原田 私の本『三千円の使いかた』…実をいうと最初は『節約物語』とか『節約家族』って題名になるかもしれなかったんです。

ジェイソン 『節約家族』…その本、ヒットするかな?

原田 今の題名の方が良かったですか?

ジェイソン 『節約物語』は…ツマらなそう!

原田 あはは! 出版社の方と相談して、『三千円~』がいいんじゃないかと決まりました。

ジェイソン 正しい判断だったと思います。題名も興味をそそるけど、内容も面白くて妻に勧めて、夫婦で盛り上がりました。お金のことについて、夫婦や家族で会話が生まれるきっかけになるような小説ですよね。

原田 お二人で読んで頂けたんですね、ありがとうございます。

ジェイソン 73歳の琴子さんが職を探していて、それを娘や孫が心配するくだりを読んで、「おばあちゃんがレジ打ちしたっていいじゃないか」と僕は思いましたね。世間体を気にする日本の価値観がリアルに描かれていて、改めて気付かされることもたくさんありました。僕たちは夫婦で腹を割って話し合うので、「なんで、なんで、そこでハッキリ(相手に)言わないんだよー!」ってもどかしいシーンが多かったです。

原田 私もね、恋愛小説を読むと「(どうして自分のこと好きなのか)さっさと聞かないんだよ!」と思うんです。でも書く立場からすると、口にできないから物語になる。口にできたら2行とは言わないけど、10ページで終わっちゃいますから。(笑)

ジェイソン そうかもしれない。

<後半につづく


三千円の使いかた』(著:原田ひ香/中央公論新社)

垣谷美雨さん 絶賛!
「この本は死ぬまで本棚の片隅に置いておき、自分を見失うたびに再び手に取る。そういった価値のある本です」

就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。そして一千万円を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか?
知識が深まり、絶対「元」もとれちゃう「節約」家族小説!