原田ひ香さん(左)と厚切りジェイソンさん(右)(撮影◎本社・八木沼卓)
「Why Japanese people?!」というツッコミで知られるお笑い芸人・厚切りジェイソンさんは、投資家としてもお馴染みの存在です。著書『ジェイソン流お金の増やし方』に、若くしてFIRE(不労所得による経済的自立をした上での早期退職)が可能となる資産を築いたプロセスを明かしたことが話題になりました。 一方、原田ひ香さんの小説『三千円の使いかた』も、三世代に渡る心温まるストーリーを通じて、お金の知識も身につくと評判を呼んでいます。対談は、ジェイソン流の辛口トークが炸裂、笑いの絶えない時間となりました。お二人の日常の「お金の使い方」から、生い立ち、これまでの歩みについて伺いました。(構成◎岡宗真由子 撮影◎本社・八木沼卓)

<前編よりつづく

初めての投資で歴史の証人に

ジェイソン 原田さんの本を読ませていただいたり、普段からも思うのですが、なかなかお金のこと口にしない日本人は多いですね。

原田 お金の話はハシタナイみたいな風潮がまだまだあります。日本人は戦後からお金の勉強をあまりしてなくて、お金を管理するのが夫だったり、妻だったり、夫婦別々だったり、それぞれの家庭で違うことも多いです。たくさん稼いでいる人への風当たりも、日本の方が欧米より強いかもしれませんね。

ジェイソン 日本は「資本主義」の世界のはずなのに全然「資本主義」の文化じゃないじゃん!って普段から思っています。原田さんは投資をいつから始めたんですか?

原田 本にも出てくる話なんですけど、私は大学の先生から、月8万円ずつ貯金をしたら1年で96万円になって、そこに年2回のボーナスを2万円ずつ足せば100万円になるよ、と教えられました。なにげない雑談の中で出てきた話なんですけど、なぜだか心に残って。それで大学を卒業した時に始めたのが最初の一歩ですね。

ジェイソン 最初は貯金だった?

原田 はい、でも100万円できると、増やしたいなと思いますよね。それで、ちょっと調べてMMFという投資だったら、2%の利子がつくと知って、100万円を抱えて証券会社に行ったんです。

ジェイソン Money Market Fundという金融商品ですね?

原田 そう。それでポンドを買ったら数ヵ月で増えたので、それを売って…という感じで投資を始めました。

ジェイソン 証券マンに言われるがままに…?

原田 そうですね、当時は私の勤めてた会社に「こういうの買いませんか?」という営業の電話がかかってきたんです。ところが預けていたのが戦後最大の倒産を起こす山一證券だったんですよね。1997年の倒産時、私はオーストラリアドルを持っていました。丸の内に勤めてたので、山一證券は近所でしたから一報を聞いて慌てて見に行って。シャッターが降りてたんですけど、下から50センチあいていて、そこから覗いて「誰かいますかー!」って叫んだんです。「私のお金どうなっちゃうのー」っという一心で。(笑)

ジェイソン こわっ!

原田 誰も出てきてくれなくて、がっくりして会社に帰って「誰もいませんでした…」と報告しました。

ジェイソン こわいこわい!

原田 1週間くらいしたら向こうから連絡がきて、結局損害はなかったから良かったです。歴史の証人にもなれましたし(笑)。若かったからかな、今考えるとよくも全財産をポンって、できたなと思います。でも心のどこかで「何かあっても面白い」と思っていたのかもしれない。今でも、投資する時は「ネタにもなるからいいや」っていうところがある。(笑)

ジェイソン トクしなくても冒険になれば? みたいな。

原田 やっちゃう、やってしまう。(笑)