作家の原田ひ香さん(左)と、経済ジャーナリストの荻原博子さん(右)(撮影:大河内禎)
なかなか明るい兆しが見えない日本経済。お金に関する不安にさいなまれないためにはどうすればいいでしょうか? 「老後のお金」や「節約」をテーマにした小説を発表し、今年1月から葵わかなさん主演でドラマ化され、毎週土曜よる11時40分より放送中の『三千円の使いかた』を著した原田ひ香さんと、経済の動きをウォッチし続けてきた荻原博子さん。2人が語り合うなかで見つけた「これからの幸福なお金の使いかた」とは。
(構成=村瀬素子 撮影=大河内禎)

物価は上がるのに給料は上がらない

荻原 原田さんの小説『三千円の使いかた』を読みました。一般の人の金銭感覚をわかっている作家さんだなと感心しまして。

原田 ありがとうございます。私の本を読んでくださっている方だけでなく、今は皆さん、お金のことに関心が高いですよね。

荻原 2022年はロシアのウクライナ侵攻に端を発し、小麦など穀物、魚、乳製品、加工食品、さらにガソリンや光熱費……と軒並み値上げラッシュ。家計を直撃しましたからね。

原田 テレビや新聞を見ていても暗いニュースばかりです。23年は明るい兆しが見えるのでしょうか。

荻原 うーん、残念ながら厳しい状況は変わらないでしょう。ウクライナとロシアの戦争は終わる見通しが立ちませんし、終結したとしても、ウクライナの穀物が世界各地に行き渡るには時間がかかり、すぐには食糧不足を解消できません。さらに、世界の小麦の半分は中国が買い占めていると言われます。14億人を食べさせていくのに必要ですし、確保した小麦を食糧危機にあえぐ他国に供給し、外交を有利に進めようとしているようです。

原田 食糧やエネルギーを輸入に頼っている日本の場合は、円安も価格高騰の要因ですよね。

荻原 単純に計算しても、1ドル100円の頃と比べて輸入価格が1.5倍近くになっているわけです。