ラブストーリーから、多種多様なジャンルへ発展

例えば『101回目のプロポーズ』(1991年・フジテレビ系列)。42歳のおじさんがひと回り年下の女性へ、必死になって「僕は死にません!」と、体を張って求愛をするという設定に、老若男女がドラマの熱狂の渦に巻き込まれていった。

この作品、浅野温子と長谷川初範のラブシーン以外は、純愛と兄弟愛のひしめく感動物語。真剣に観ていた10代のわたしには人間愛のほうが強く感じられたものである。

ひとつ屋根の下』(1993年・フジテレビ系列)は、両親を亡くした六人兄弟が少しずつ心を通わせて、困難に立ち向かっていくファミリードラマ。あんちゃん(江口洋介)のひたむきさに、毎週泣かされていたことを思い出す。

氷の世界』(1999年・フジテレビ系列)に至っては、竹野内豊主演による、ミステリー作。つまりラブストーリーがベースであると見せかけつつ、バーリトゥード(何でもあり)方式の内容が月曜21時に並ぶ。視聴者を夢中にさせた理由のひとつであり、新しさであり、令和への布石であったとわたしは思う。

「月9」を見ていないと、火曜日の同僚や同級生との話題に乗り遅れてしまう。視聴する以外に選択はないという、心躍る強制だった(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

(次のクールは、どんな内容が放送されるのだろう?)

と、胸を高鳴らせながら、新聞のテレビ欄やテレビ情報誌に目を通すのが楽しみだった、今でこそ、一箇所の放送時間帯に、ミステリー、ラブストーリー……と、様々なジャンルが飛び出してくることが普通になった。あの頃の「月9ガチャ」が発祥だ。