三浦宏規さん(左)と山口祐一郎さん(右)(撮影:木村直軌)
堂々たる風格と佇まいはまさに「帝王」、日本のミュージカル界を牽引してきた山口祐一郎さん。そして、バレエ出身ならではの美しいダンスと甘い歌声で、今、引っ張りだこの新星、三浦宏規さん。帝国劇場の舞台で、その二人がタッグを組む。舞台へかける情熱は――(撮影=木村直軌 構成=上田恵子)

<前編よりつづく

リニューアルした帝劇で、また一緒にやりたい

三浦 王騎将軍は、天下の大将軍を目指すやんちゃな信を「童信(わらべしん)」と呼び、言動を面白がっています。そして戦いの最後、自身の愛馬に同乗する信に「これが将軍の見る景色です」と教え、「素質はありますよ、信」と、自身の大切な武器である矛を託して世を去ります。

山口 たぶん王騎も、以前は信だったんですよね。戦乱の世にあって、同じ空間、同じ時間で自分と同じものを持つ人間=信と出逢えた喜び。それは僕が、『ヘアスプレー』で宏規さんと出逢った時と同様なのだと思います。「あっ、いた!」という、とても幸せな気持ち。なので今は、その感覚がこのお芝居全体に良い形で影響したらいいなと思っています。

三浦 本当に嬉しい言葉をありがとうございます。精一杯頑張ります。ところで、この『キングダム』が上演されるのは帝国劇場ですが、実は僕が初めて祐さんにお会いしたのは帝劇のエレベーターなんです。

2019年に『レ・ミゼラブル』に出演していた際、舞台袖にあるエレベーター前で、稽古場に来られた祐さんに遭遇して。「おはようございます!」とご挨拶させていただいたら、エレベーターの扉が閉まる寸前に「頑張って。応援してる!」と言ってくださったんです。

もう大感激で、その日はものすごく頑張れましたし、宙に浮いたままお芝居をした記憶があります。その時演じていたのはマリウスだったので、ぴったりだったんですけど(笑)。忘れられない帝劇の思い出です。