この記事の目次
〈症状〉見えにくい状態がさまざまな不調に 〈原因〉先天性と後天性が。加齢も一つの原因
〈治療〉基本は手術。原因により方法に違いが
〈予防〉筋肉に負担をかけないことが大事

〈治療〉基本は手術。原因により方法に違いが

眼瞼下垂の治療は手術です。手術を希望される場合は、その前に他の原因で眼瞼下垂が起きていないか、脳神経外科、神経内科で診断を受けて確かめることが欠かせません。たとえば、「重症筋無力症」「眼瞼けいれん」でも症状としては眼瞼下垂が起こるからです。それらの疾患のないことが確認されれば、手術をすることになります。

その手術も、前述したように原因が「先天性」「皮膚のたるみ」「まぶたを上げる筋肉の変化」のどれかによって方法は異なります。

先天性眼瞼下垂のケースは「眼瞼吊り上げ術」を行います。もともと眼瞼挙筋が機能していないので、患者さんの太ももの外側の筋膜を少し採り、眉を上げる筋肉の前頭筋とまぶたをつなぐために移植します。2 ヵ所で平行に吊り上げるので、まぶたが三角に開くことはありません。眉毛を1 cm上げると、まぶたも自然に1 cm上がるようになります。

加齢による皮膚のたるみでまぶたが垂れている場合は、余分な皮膚を切除すれば解決します。ただ、このケースは、美容目的と診断される程度では保険適用にはなりません。

そして、まぶたを上げる筋肉の変化によるケース。つまり、挙筋腱膜がはずれたり、伸びてしまったりしている場合は、「眼瞼挙筋前転術」という手術を行います。表面からまぶたを切開し眼瞼挙筋を引き出して、挙筋腱膜がはずれたり、伸びたりしている部分を糸で元のように固定すると、まぶたが開くようになります。

図:眼瞼下垂の原因