危機レベルが下がっても、地球温暖化の影響が

野生パンダの本格的な調査が始まってみると、80年代の調査では野生の生息数はわずか約1200頭。中国政府は危機的状況にあると警告するに至ります。弱ったパンダの保護だけでなく、生息域の環境保全や飼育下での繁殖推進が火急の課題となりました。

『知らなかった! パンダ―ーアドベンチャーワールドが29年で20頭を育てたから知っているひみつ』(著:アドベンチャーワールド「パンダチーム」/新潮社)

中国政府は「中国国家一級保護動物」としてパンダの密猟の禁止や保護区の設立、分断された生息地を繋げるために緑の回廊(コリドー)をつくるなどの施策をとりました。

やがて、2011年から2014年にかけて行われた調査では、個体数が1864頭と増加していました。生息地の保全活動が進み、生息数が増加したことにより、2016年度にはIUCN(国際自然保護連合)レッドリストで危機のレベルが「絶滅危惧種」から「危急種」に引き下げられました。しかし、地球温暖化による影響は今後も懸念されます。

「珍獣」と呼ばれ、世界中の動物園などでぬいぐるみのような姿からかわいがられて、愛されているパンダですが、本来の自然の生息地で生活し、子孫を残していくことが増えることはあっても、減ることがないように……。それが、パンダに関わる私たちの共通の願いです。