楽しむにはお代が必要

人との距離感がつかめず、人間関係を上手に築けない方は少なからずいます。努力をしてもどうにもならないなら仕方ありません。かといって「これからの人生、誰にも頼らずひとりで生きていくわ」と、決意する必要もない。この先、誰か気の合う人が現れる可能性もあるでしょう。二者択一ではなく、グレーでいいのです。とはいえ、自分は人との距離感をつかむのが苦手だと自覚し、むりせず「個」を大事にしながら、楽しむ余裕を持つことが大前提。

「ひとりは寂しい」とおっしゃる方もいるでしょう。けれど、誰かといるから満たされるというのは依存です。それは、相手に楽しませてもらおうと思っている証拠。その考えを改めなければいけません。自分の心は何をすれば喜ぶのか、自分にしかわからないはず。お酒が好きな方なら、休日の昼間から居酒屋さんに行って、お酒を飲みながら焼き鳥を食べるのもいいでしょう。デパートで、売り場の店員さんと会話をしながらショッピングするのも楽しいものです。

(イラスト◎大野舞)


ただし、知らない誰かと交流する場合はお代が必要に。昔からバーやクラブといった社交場は、お酒を飲むことよりも、お店の人との会話を楽しむという目的のほうが大きいように思います。つまり会話を楽しみたかったら、社交場に行ってお金を払う必要がある。だからこそ接客業という職業が成り立つのです。

ところで、職場の人間関係に馴染めず悩んでいるという人もけっこういますね。けれど、職場はそもそも社交場のように「会話を楽しむ場」ではありません。仕事をしてお給料をもらうところ。業務がスムーズに回るような人間関係は必要ですが、それ以上の交流は期待しないほうが無難です。楽しむ場は、職場以外に求めると割り切れば、むやみに孤独感を募らせることもないでしょう。