お金は天下の回りものなのだから
私は昔からあまりお金に執着がなく、物欲もありません。買い物に行っても、つい孫たちや遠くにいる姪、甥たちのものを買っている自分がいます。
今までもいろいろなことがありましたが、損得を考えず生きてきました。夫が何の相談もなく突然勤め先を辞めてきた時も、子どもたちは「ママ、明日からどうやって生活するの?」と泣いて心配していたものです。
けれど私は、夫には夫の、人には話せぬ事情や、よほど嫌なことがあったのだろうと、気にしていませんでした。
また夫は、大学時代の後輩たちが事業に失敗したと聞いて、返ってくる当てもないお金を送ったことも。事実、いまだに返済はなく、皆さん音信不通です。義妹が借金を抱えた時には、私たちの老後資金をすべて渡したりもしました。
ですので、いつも子どもたちには、「お人よしにもほどがある」と叱られています。そのたびに「お金は天下の回りものなのだから、出さなければ入ってもこないのよ」と強がりを言う私。もしかしたら、その分を、宝くじとして神様が少しずつ返してくださっているのかもしれません。
後期高齢者ですから、いつ何があってもおかしくない年齢です。子どもたちが近くにいて、私たち夫婦を気遣ってくれて本当に幸せ。やはり元気ハツラツで過ごせることが、どんな大きな宝くじに当たるより嬉しいのです。
昨年の春、宝くじの楽しみを教えてくれた友人の夫が亡くなり、彼女も後を追うように病気で亡くなりました。もう一度4人で北海道に行こうね、と約束をしていたので、残念でなりません。あの旅は私たちの記憶の中でもとくに思い出深いものでしたから。
今も友人、家族は、私がそのうちに高額の宝くじに当たると期待しているようです。もし本当にそんなことがあったら、宝くじを教えてくれた友人のお墓に、一番に報告することでしょう。そんな夢を見ている私です。