民間と遜色ない新しさ

そのURですが、私は今まで、30年以上も賃貸暮らしをしてきたにも関わらず、住んだことがありませんでした。本気でURの物件を探したこともありません。一つには、URのホームページで募集住戸を探すと、希望エリアで、希望の広さや家賃の物件を見つけられなかったからです。

春や秋など企業の転勤時期だけでなく、平時でもなかなか募集は出ていません。でも、実は、募集してないわけじゃなかったのです。今回、本気で住み替えを考えて、現地募集事務所に行ってみて初めて分かったこと、良い意味で裏切られたことが多々あります。今まで「食わず嫌い」「偏見」だったと反省しました。

部屋の内見で、玄関のドアを開けて、まず驚いたのが室内の匂いでした。URはお得な代わりに、狭い、古い、汚い、と思っていました。ところが、
「くさくない!」「リフォームの匂いだ!」
古びた家の、誰かが住んでいた、あの「生活臭」がしなかったのです。中古物件にありがちな、壁や床に染みついた、誰かの汗や食べ物などの生活の臭い。あの嫌な臭いの代わりに、いずれも、新しい建具の匂いがしました。

畳表を替え、クロスを張り替え、必要に応じて家具や設備を入れ替え、きちんとクリーニング(室内清掃)をした証拠です。壁のクロスは今っぽい模様つきカラークロスで、床のフローリングも最近流行りの明るめの色のものに張り替えられていました。たまたま内見できた3部屋だけが、偶然、特別にキレイだったとは思えない清潔さと新しさでした。

見たのは1LDKと2LDKでしたが、いずれも単身者でも借りられるそうです。1LDKのLDK部分約10畳は、かつてダイニングキッチン4畳+リビング和室6畳だったのをリフォームで合体させたようです。この間取りも、「狭い公団」という先入観を覆しました。(いっぽうで窓からの眺望は素晴らしかったです。さすが公団!)

住宅設備も、民間と遜色ない新しさでした。30年前には「公団の賃貸には浴槽を持って入居する」と言われましたが、時代は変わりました。風呂は追い炊き機能つきで、バス・トイレ別、洗面所も独立。洗面所と風呂のカランは、温水と冷水が一つの蛇口から出てくる混合栓です。室内に洗濯機置き場もありましたし、エアコンも1基は付いていました。