3つの要件

更なる思い込みは、URにはちょうどいい物件がない、というものでした。URのホームページを見ても、空室情報はなかなかありません。掲載がないので募集はないと思って、探すことすら諦めていました。今回、たまたま民間の不動産サイトに「UR」と書かれていた物件が掲載されていて、業者に連絡し、内見までたどり着きました。結果、私のような単身者にちょうどいい広さ・間取りの物件もURにもあることを知りました。空室は出ても散発で、しかもすぐに申し込みが入ってしまい、内見ができないだけ、だったのです。

さて。冒頭に挙げた私の疑問に戻りましょう。「女性・単身・不安定収入・アラ還」でもURの部屋は貸してもらえるのか?の答えがどうだったかといえば、……対応してくれた60代とおぼしき、おばちゃん(失礼!)担当者は、即答しました。「借りられますよ」。単身者でも? ええ。個人事業主でも? はい。それが何か問題でも?という反応で、逆にこちらが驚いたほどでした。「え、借りられるんですか?」はい。「収入証明とか要るんですか?」

これも問題です。例えば、マンションを買おうと思ったら、まず銀行に確定申告を過去3年分出せと言われます。ですが、(個人事業主にはありがちですが)節税のために見せかけの収入を低くしていることがあります。それだと、「低収入」とみなされて、ローン審査が下りなくなってしまうのです。同じように、URでも確定申告を見られると、要件を満たさない恐れがありました。

ですが、この質問にもおばちゃん担当者は動じませんでした。「3つの“収入審査要件”のいずれかに相当すれば、借りられます」と言います。URの場合、保証人も必要ありませんし、単身だろうが家族持ちだろうが、年齢に関係なく、勤め先や勤務形態にもかかわらず、借りられます、と胸を張ります。ではその三つの要件とは――。

1、月給または固定収入が、入居する部屋の家賃の4倍以上ある。この場合は税務署で「納税証明書」をもらって、提出する(一番新しいもの1年分)。

2、貯蓄額が、入居する部屋の家賃の100倍以上ある。この場合、株や投資信託など金融商品に投資しているのでは「貯蓄」とみなされないのでダメで、あくまで預貯金の金額。定期預金や積立貯金など現金が必要で、その残高証明や通帳のコピーを提出して証明する。

3、家賃・共益費の12カ月分を、契約時にまとめて支払う。