女性ならではの購入時の注意点
若い独身女性にとっての問題は、これからライフスタイルが変わるかもしれないのに、いま買う決断をしてもいいかどうか、でしょうか。参加者から「女性ならではの購入時の注意点」を聞かれて、「特に男女で違いはないですが」としながら、セミロングのM氏は答えました。一般的に、部屋を買う時は、そのエリアを昼と夜に見に行って確認したほうがいいこと。また、ライフスタイルの変化について考えておくこと。「ずっと1人なら35平米の部屋で良いけれど、2人になるかもしれないと考えて、もう少し広めの部屋を選んだ女性もいました」と紹介していました。
確かに、独身時代に買った一人用の部屋は、その後、結婚や出産で家族が増えたら、手狭になるのは目に見えています。でも、だからこそ、「賃貸に出した時に借り手がつく」ような、ほかの単身者から借りたいと思われるような魅力的な物件を選ぶべきだと、私は思います。家族が増えたら買い換えるのではなく、元の部屋は賃貸に出して、夫婦は別の賃貸に住む、または新たに2人で購入すればいいのです。
ただ、年齢的にはどうでしょう。オンラインだったため他の参加者が見えず、私のようなアラ還がいたかどうかは分かりません。マンションセミナーはたいてい、30~40代のバリバリ現役働き盛りの人が対象だと感じます。彼女ら彼らは35年ローンを組めますが、ローンには「完済時80歳」という縛りがあります。50代であれば、ローン返済期間は「80-自分の年齢」で、20数年しかないのです。返済期間が短ければ、月々の返済額が増えます。収入に占めるローン返済の割合は3割(年収によっては2割5分から4割)までですから、借りられる総額は減ってしまいます。私のようなアラ還でも、住宅ローンが組めるのでしょうか。そうまでして今更マンションを買う人がいるのでしょうか。
この点をM氏に聞いてみました。すると、私より少し年上で、「実際、マンションを買った独身の女性もいます」と教えてくれました。大きなきっかけは定年だそうです。「定年後は社宅を出ないといけないからと、家を買う女性がいます。社宅だった分、頭金はためていますから」。社宅の代わりに家賃補助をもらっている会社員も多いのではないでしょうか。これも会社を辞めると当然なくなりますから、定年後の家賃は全額自腹になります。
それを見越して、定年を前に、賃貸派から購入派になる人も多いそうです。「終の棲家として、住みたかったエリアに古めで小さめのマンションを買った女性もいました。彼女は生涯、その家に住んで、住み潰すと言っていました」。会社員にとって、定年前は、ローンを組んで終の棲家を手に入れるにはちょうど良い時期、「マンション購入適齢期」なのかもしれません。