昔は怪我は隠すものだった
どんな技を見せるかと期待した豊昇龍は、元大関で平幕まで落ちてしまった前頭筆頭・正代がカッコイイ左のおっつけを発揮したため、一気に押し出された。正代が怒涛の迫力を継続できれば、優勝も夢ではない、と思った。
次に登場したのが7場所連続関脇の地位を確保している若隆景。対戦相手は幕内最年長38歳を感じさせない元気な前頭筆頭・玉鷲。攻防のすえ、土俵際で若隆景は突き落とされてしまった。若隆景は稽古で脇腹を痛めたとのアナウンサーの報告があり、心配だ。
4小結の若元春、琴ノ若、大栄翔、翔猿は、それぞれ個性的で楽しみだ。
大栄翔は、前頭3枚目・錦木を押し出した。稽古風景の放映中に、大栄翔は両肘に痛みがあるとのアナウンサーの報告があった。
琴ノ若は元大関の前頭3枚目・御嶽海に寄り切りで圧勝した。
小結の中で最も光るのは若元春。着々と力をつけている。
初日は8場所連続勝ち越しの前頭2枚目・竜電をうまい相撲で寄り切った。若元春は稽古で背中を痛めたそうだ。
コロナ禍で制限されていた出稽古ができるようになった。初日には、稽古での怪我の報告をアナウンサーがしている。
私の子どもの頃は、力士は怪我をしたところを対戦相手に狙われるので、秘密にしたり、本場所ではサポーターのように包帯を巻かないなどしていた。
最近も怪我を隠す力士はいる。しかし、アナウンサーは怪我の報告をするので、「怪我から大相撲を見る」という観戦に切り替わった。私は「首が痛くても頑張れ」とかだけでなく、病気も気になり「血圧を上げるな。落ち着いて行けば勝てる」とか、「悪玉コレステロールが多そうだが、一気に押せ」とか、テレビに向かって叫ぶようになった。もし、外まで聞こえていたら、何のことだ?と思われるに違いない。