元日のお墓参りで
娘の手製の雑煮を食べたが、ちっともおいしくなかった。でもそんなことを言おうものなら、烈火のごとく怒るに決まっているので、生煮えの餅を黙々と食す。そして、みんなで支度をして、息子と夫の墓参りへ。
墓前では「昨年は仲よくお雑煮を食べたね、お父さん」と涙があふれてきた。すると娘がしみじみ言う。「私、あまりお父さんのこと好きじゃなかった」。驚いて娘を見る。「お母さんだってそうでしょ。昔のことをグダグダ言ってさ」。
ちゃんと私と夫のやりとりを見ていたとは。なんだか恥ずかしい。じつは、夫からチクチク言われなくなってホッとした自分がいたのだ。「でも、お父さん、さびしいよ」と手を合わせた。