好きにすればするほどお金はかかる
でも、コミュニティーがしっかりしている分、よそ者が入るのを嫌がって、賃貸に出すのを管理組合で禁じていたりしませんか?「いえいえ。普通に賃貸に出してますよ」。とある物件は、立地もさることながら、カッコいい間取りが人気で、相場よりかなり高い30万円台で賃貸の募集を出したのに、あっという間に決まったそうです。「今ではコーポラ物件のファンもいます。賃貸や売買に出るのを待っている人もいます」。流通できるのならば、普通のマンションと条件的には変わりません。
では、やっぱり、問題はあれ、ですね。お金です。コーポラの場合、募集金額はスケルトン(駆体)の価格です。これに内装(インフィル)代がかかります。間取りも仕様も設備も、好きにすればするほどお金はかかります。X社でも最低500万、平均して1000万はかけるそうです。
翌週に話を聞いたY社では、最近は資材や人件費の高騰のあおりで、1000万~2000万円が平均とのことでした。つまり、募集価格が5000万円の物件では、トータルで6000万~7000万円が必要になるといいます。ローンは、「スケルトン+インフィル」総計で組めるそうですが、ああ、でも全然ダメです。こんな金額、手が出ません。やっぱりこれは「失礼しました、出直して来ます」のレベルでした。
それでも、近隣の普通の新築分譲マンションと比べると、「割安感があります」とS社長は胸を張ります。確かに、立地やグレード、自分だけのオリジナルな注文建築が買える自由度を考えれば、むしろ安いくらいでしょう。予算が用意できる人にとっては、ですが。
デメリットとしては、その分、時間と手間がかかること。参加を表明して手付金を払ってから引き渡しまでに1年半~2年半もの時間がかかるそうです。その間、先述した通り、住民同士の話し合いもトータルで10回以上は持たれます。この手間や時間が惜しい人には、向かない物件でしょう。
じゃあ、もし、私に十分な頭金があったら、購入できるんでしょうか。「私でもローンはつきますか? やっぱりフリーランスだと難しいですか?」。ここは、さすがにS社長、正直でした。「フリーランスの人は、都市銀行はダメでしょうね。フラット35が大前提ですが、掛け合ってみないと、ローンがつくかどうかは分かりません」。
でも、最初から全く箸にも棒にもかかりません、ではありません。S社長には、「事前審査に出してみませんか。大丈夫かもしれませんよ」と励まされてしまいました。優しい。傷つかないように、気遣ってくれてありがとうございます。