ロングトーンを研究。発声マニアの性

そして15年。シュガーの愛称でたくさんのファンがつき、念願のミュージカル俳優としても確固たる地位を確立した佐藤さん。その発声理論はプロの声楽家からもアドバイスを求められるようになった。ロングトーンはコンサートでの魅せ場のひとつになっている。

ロングトーンはリハーサルのときにふざけてやったところ、当時の社長が「面白い!使える」と…。(笑)

ロングトーンもいろいろと探っていくと音量を変えずに長く続けられるポイントがあるんです。誰でもやればできることなのですが、そういうことを楽しみながら研究しているのも、発声マニアの性ですね。(笑)

ミュージカルも、探り探りです。最初のころは、クラシック出身なので、声を響かせて歌っていた。でも、共演者の城田優くんや山崎育三郎くんたちに「そんなにクラシカル調に力を入れて歌うんじゃなく、もっとリアルに語るように歌えばいいのに」と軽く言われて、ああそうかと…。で、ささやくように歌っていたら今度は演出家の小池修一郎先生に「おいおい、どうした? ちゃんと朗々と歌い上げるのが君の魅力なのに」と…。(笑) 歌い過ぎない、語り過ぎない、そのへんのバランスが難しくて、今でも課題です。

ミュージカルって、歌と言葉がうまく融合していないといけない。ストーリーの中で突然歌い始めたときに違和感があっちゃいけないんですよね。ひとつひとつ、学ばせていただいてます。

僕を大きく成長させてくれたのは「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン役です。初めての舞台と2回目とは別人だと言われるほど、変わったと思います。1年目にうまく歌えないところ、特に高音について、周りの人に助けを求めて、すべて試してもがいて苦しんで、自分なりに発声を作っていきましたが、最後は舞台監督さんの若いころのロックをやっていたころの話がヒントになりました。
これからも、もがき続けながら、進化させていきたいです。

ロングトーンにはいつも大きなどよめきと拍手が(写真提供:SL-Company)