クラシックをベースにジャンルという垣根を取り払い、音楽として楽しんでもらおうというグループでテノールを務める佐藤隆紀さんが、4月29日に行われる「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2023」に出演する。世界中で愛されるディズニーから生まれたたくさんの名曲を、ディズニーに縁のあるアーティスト(フレンズオブディズニー)が歌い上げるというぜいたくな舞台への参加は、佐藤さんにとってひとつの夢の実現だという。
LE VELVETSが結成15周年を迎え、同時に佐藤さん自身の芸能生活も15周年を数える記念すべき年、昨年に続き、この舞台への出演が決まった佐藤隆紀さんの舞台にかける意気込み、そして今後にかける思いとは―――。(構成◎吉田明美 撮影◎本社・奥西義和)
年上メンバーに発声について意見したことも
「LE VELVETS」のオーディション受験条件は「身長180㎝以上で音楽大学声楽科卒業」だけ。個性的なグループの一員となった佐藤さんは、メンバーの最年少だった。
一番上の宮原浩暢さんとは7歳違います。20代のときの7歳ってかなり差がありますよね。だから「LE VELVETS」に入った当初は、宮原さんからいろいろ発声のアドバイスをもらったりしていたんです。でも僕もずっと発声マニアだったから、発声にはプライドを持っていた。少し仲良くなったころに、宮原さんに、「僕もちょっと宮原さんの発声について気になることがあるんですけど、言ってもいいですか?」と聞いちゃったんです。
彼は僕より7歳も年上だし、芸大の声楽科で大学院まで行ってるし、それなりに実績もあってプライドも持ってるわけで、一瞬「ん?」となったみたいなんですけど、僕の発言に対してひるまずに「僕もうまくなりたいから聞くよ」と言ってくれて、それで言ってみたら「なるほど」と実行してくれて…というやりとりができたときに、このグループはいいなと思ったんです。一番年上の人が真のプライドを持っているからこそ、こういう接し方をしてくれるんだと、このグループのことを大好きと思えた。それがずっと続いています。
「LE VELVETS」にはリーダーがいないのですが、宮原さんの、決してえらぶることのないやさしさと、最高のステージを届けたいというメンバーの気持ちが一致していれば、お互いのいいところを重ね合って出していける。それでずっと続いていくと思っています。
正直にいうと、心が折れそうになったことは一度や二度ではありません。でもそんな僕たちをファンの方々が変わらず応援してくれた。これは力になりましたね。