見栄っ張りな兄の生活

兄は一人娘の女性と社内恋愛で結婚。時はまさにバブルが始まった頃でした。市内一の老舗ホテルで結婚式を挙げ、ハネムーンは豪華にヨーロッパへ3週間。

お嬢様育ちの兄嫁は専業主婦となり、夫婦でブランド品を身にまとい、国内感覚で海外旅行三昧と、バブリーな新婚生活を謳歌していました。

その夫婦の間に生まれた子どもたちもバブルの申し子。毎日のように公園代わりのデパート通いを続けていました。そのうち夫婦で、とある宗教にはまって相当額を貢ぎ、そのうえ長男と次女を数年間その活動に参加させてお金をつぎ込んだりと、信じられない生活ぶりだったのです。

しかし、金銭にまつわる数々の窮地を救ってくれていた兄嫁の父が他界。それならと、今度は実の母親に泣きついてきました。

「あんたに借りているわけではない」

母にお金を無心に来る兄に私が意見すると、きまって怒り、言ってくるセリフ。子どもの頃からお金にルーズだった兄は、もらった小遣いは落とすか使い果たすか。

大人になってもルーズなままで、ボーナスが出れば使い切ってくる。人がいいというか、気前がいいというか、見栄っ張りというか、誰にでも奢りたがるのです。

そのくせ、お金がなくなると「父さんには内緒にして」を常套句に母に援助を要求してくる。営業職のサラリーマンの収入など知れたものです。その割に交際費もかかり、生活が派手となれば当然の結果。

最初は10万単位だったものが、徐々に要求額が増え、100万単位になったときに、ようやく母から相談を受けました。