(イラスト:たつみなつこ)
国税庁が発表した「令和3年分 相続税の申告事績の概要」によると、被相続人数(死亡者数)の増加とともに相続財産の金額も年々増加しており、平成24年は合計117,248(億円)だったのに対し、令和3年には合計196,794(億円)となった。高齢者の貯蓄の動機として、子や孫の生活水準低下を心配して「遺産として子孫に残す」という考えを持つ人も少なくないのでは。だからといって、親に頼りすぎていたり、あまりにも無茶な金遣いをしたりする人はどうしても目につくもの。それが知り合いともなれば、気が気ではありません。野田静枝さん(仮名・静岡県・主婦・63歳)は、実の兄の行動やお金遣いに長年思うところがあったそうで――。

返済ができなくなると妻の父親に泣きつく

他人の家の台所事情をとやかく言うのは、私の趣味ではありません。でも、たった一人の兄とその家族のこととなると、いささか気になります。傍目には財政破綻しているのに、何事もなかったかのように金満生活を続けているのですから……。

独身時代からサラ金のお世話になっている兄は、結婚後も利用し続け、何度も返済困難に陥っています。でも、そのたびに周りの人たちから窮地を救ってもらい、綱渡りの日々。

後から知ったことですが、兄はサラ金の返済ができなくなると、妻の父親に泣きついて肩代わりをしてもらっていたそうです。バブル絶頂だった頃のこと、兄嫁の父は黙って何度でも出してくれたとか。

とっくに離婚されていてもおかしくないのに、サラ金返済くらいではビクともしない兄嫁の両親の経済力のお陰か、兄嫁の慈悲深さ(?)のお陰か、子どもたちを母子家庭で育てたくなかったのか、それとも深い愛情か──。

その理由はわかりませんが、とにかく見捨てられずに、孫を抱けるまで現在も家においてもらえているのです。妹の私としてはありがたいことで、兄嫁家族には感謝の念に堪えません。