チェックするポイント

(1)まず物件そのものの「基本性能」を確認します。これは、後からは変えられない部分です。マンションが建てられたのはいつか(築年)、新耐震(1981年6月以降の建築確認申請)かどうか、構造はどうか(RC<鉄筋コンクリート>、SRC<鉄筋鉄骨コンクリート>、まれにS<鉄骨>造)、駅からの距離は徒歩何分か(またはバス何分+徒歩何分か)、土地は所有権か地上権(借地)か、マンションの開口部はどちら向き(南向き、東向きなど)か、総戸数は何戸か(管理組合の運営が安定しやすいとされる50戸以上あるか、ホームズのサイトは物件一覧にこの情報があって助かります)。そして当該物件は、何階建ての何階か。

(2)次に、マンション全体の運営と設備をチェックします。エレベーター、オートロックや宅配ボックス、建物内ゴミ集積所、トランクルームなどがあるかどうか。管理は自主管理か管理会社に委託か、管理会社はどこか、修繕積立金の額は平米当たりいくらか。5階建てまではエレベーターはなくても合法ですから、特に古い団地型の低層マンションの場合、エレベーターがないことがあります。ゴミ集積所も、小さいマンションだと設置されておらず、個別にゴミ捨て場に持って行く必要があったりします。私は車を持っていないし、買おうと思っているエリア的に駐車場の優先度は高くないと思いますが、郊外や地方ならば、駐車場台数(1戸あたり何台置けるか)と空き状況も重要な要素でしょう。

管理については、管理会社に任せるのが一般的ですが、まれに、自主管理の物件があります。自主管理ですと管理費を抑えられますが、建物の維持補修管理を自分たちでする必要が出てきます。居住者自らがゴミ捨てをしたり、当番を決めて共用部の清掃をしたり、長期修繕計画を立てて補修工事の業者を選定し、修繕工事を実施する、といった具合です。

また、修繕積立金は、少ないほうが月々の負担が少なくて良いと思いがちですが、維持管理のために必要なお金です。鉄筋鉄骨コンクリート(SRC)であってもメンテナンスをしないと劣化します。劣化したマンションは資産価値が下がって、売却する場合は売りにくくなり、賃貸に出すにも安い家賃でしか借り手がつきません(実際に購入するとなると、仲介業者を通して修繕積立金の残高がどのくらいあるか、滞納がないかどうか、長期修繕計画の有無と、過去の共用部の修繕実績を確認できます)。ちなみに、修繕積立金は億単位にもなり、過去には、管理組合の理事長や管理会社が積立金を持ち逃げした事件がありました。犯罪防止のためにも、管理組合は管理会社や理事会を監督する必要がありますし、管理会社は実績のあるところが安心です。

補修周期は、国交省の長期修繕計画作成ガイドライン(「第3編 長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」p84、「修繕周期の例」※1)によると、エレベーターは26~30年、共用部のガス管は28~32年、給排水管(縦管)も30~40年で交換しなくてはいけません。バルコニーの手すりや非常階段などの鉄部塗装は5~7年ごと、屋上やバルコニーの防水や駆体補修・外壁塗装も12~15年ごとに、工事をする必要があります。修繕積立金は、それらの補修にかかるお金を、マンションの区分所有者全員が、所有面積比で分担して、月々積み立てているものです。新耐震後の建物でも、平米あたり100円は必要でしょう。将来、足りなかった場合、必要な工事を先延ばしするか、各戸から臨時徴収するか、といった事態に陥るかもしれません。


1https://www.mlit.go.jp/common/001172737.pdf