治安をきちんと調べなかったために大失敗
ちなみに、私はかつて、治安をきちんと調べなかったために大失敗をしたことがあります。予算を優先して、希望エリアから外れた、あまりなじみのなかった地域で、新築マンションを自宅として購入しました。23区内、地下鉄駅から徒歩圏、間取りも広さも希望通り、最上階で広いルーフバルコニーつき。良さそうに聞こえますよね? 自慢のマイルームでしたが、入居から3年半で売却することになりました(購入価格の1割!もの売却損が出ました)。理由は、なんと、その間に2度も泥棒に入られたからです。
侵入経路はルーフバルコニーで、警察いわく「プロの仕業」でした。プロの窃盗犯がマンションで一番狙うのは1階ですが、次は最上階だそうです。下から見えないため人目に付きにくく、「仕事」がしやすいそうで、ことにルーフバルコニーは隠れた狙い目なのだとか。被害に気付いたのが土曜の夜で、110番してから警察官の現着まで数十分待たされました。人員の少ない当直時間帯ですが、警察官が「今晩は忙しい」と言っていたのが気になり、その後、犯罪件数を調べました。そして、マンションのある地域が、窃盗犯のとても多い地域だったことに、遅ればせながら気づきました。人生で2回しか掛けたことがない110番は、2度とも、このマンションでの泥棒被害の時でした。残念。買う前に、犯罪傾向を調べていたら良かったと、反省しています。
「事故物件」という言葉については、知っている人も多いでしょう。過去に、部屋や共用部で、殺人や自殺などの「事件・事故」が起きたり、事件性のない自然死でも発見までに時間がかかって「特殊清掃」が実施されたりした家やマンションのことです。賃貸では、賃料の安さに惹かれて事故物件を選んで住む人がいるとか、あえてネタとして事故物件に住む芸人さんがいる、などと聞きます。でも、ずっと住み続ける購入物件となると、どうでしょう。気にならない人にはお得でしょうが、できれば避けたいと思うのが人情でしょう。私も避けたいですし、私から将来買ってくれるだろう人も避けたいでしょう。最初から候補から除外したいものですが、問題は「事故物件隠し」をする業者がいることです。
「事故物件」について、宅建業者は、重要事項説明の中で、買い手・借り手に告知するのが慣例でした。ですが、国交省は、2021年10月に策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」で、「事案発生から概ね3年が経過した後は、原則として告げなくてもよい」と定めました。このため、例えば事故後に不動産業者が安く買って所有し、事故から3年後にフルリフォーム物件として売る場合には、「事故物件」と告知しなくても良いのです。事故物件だった履歴を、3年以上経っても伝える良心的な業者もあるでしょうが、しなくても法律的には問題ではありません。業者によっては「事故物件隠し」が出来てしまいます。そこで、自分で調べる必要があるのです。