実際にイントラストと保証契約を結んだ埼玉県の会社員、石川良子さん(42歳・仮名)は、昨年の12月に離婚。小学生の娘がおり、毎月6万円、ボーナス月にプラス6万円支払われる公正証書を取り交わした。その際、行政書士から保証を聞いて加入した。

「離婚を考えていたときに元夫(45歳)は就職先をころころ変えていたので、離婚後、養育費をきちんと払ってもらいたいと思い、離婚と同時に合意契約してもらいました。娘は中学受験を目指して塾にも通っているので、これからはどんどんお金がかかります。養育費はなくてはならないので、必ず入ってくると思うと安心です」(石川さん)

シングルマザーや再婚家庭をサポートするNPO法人「M-STEP」の理事長、新川てるえさんのもとには、30、40代のひとり親、再婚した母親からの相談が寄せられる。

新川さん自身も離婚を経験し、履行勧告、履行命令をしても続いた養育費の未払いに泣かされたという。相談は、未払い、再婚後に養育費を止められるケースなどさまざま。

「仮に再婚しても、元夫から養育費はもらえるのです。私が離婚したころと違い、厚生労働省の委託事業として養育費支援相談センターも設立され、支援は拡充されました。養育費は支払わなければいけないものという社会的な意識が広がってきたのは、よい傾向だと思います」

今年5月に民事執行法が改正され、「第三者からの情報取得手続き」という制度ができた(施行は来年の見込み)。裁判所から市町村の年金事務所に照会が行き、勤務先や銀行の口座もわかるようになり、給与を差し押さえて養育費を確保できると期待されている。

それでも取れないケースは出てくるだろうし、そのぶんを国が立て替えてくれるわけでもない。民間会社の保証制度がもっと多くの自治体で導入されるようになればと願う。