二拠点居住は珍しくない

実際、二拠点居住は珍しくないようです。町案内をしてもらっている最中、神奈川県内に家族を残して、単身で箱根の温泉付きマンションに暮らしているという男性に2人、会いました。一人はすでに現役をリタイアし、妻はまだ働いているため、別々にいるほうが家族からもうっとうしがられない、とか。もう一人は、数ヵ月前から、箱根に週5日住んで働いているそうで、あまりに気に入ったため家族全員での移住を検討中とのことでした。子どもが小さいので学校の問題などはあるけれど、部屋を探しているとの話でした(別荘地以外にある普通の戸建てこそ、賃貸も売買もなかなか出ないそうです。暮らしやすいエリアには、相続のタイミングでもないと物件が出にくいそう)。

また、都心と箱根の二拠点居住を始めた40代独身女性の事例も聞きました。その女性は、もともと都内に持っていたマンションを売った売却益で、箱根湯本にマンションを購入したそうです。週末は箱根で過ごし、平日は都心の賃貸から出社しているとのことです。――そうか、このパターンもあるのか、と目ウロコです。安い箱根で、広めの良いマンションを買って、そこに家財道具一式も移してしまい、ふだんは箱根に住んで、用事のある時だけ都内に来る、という二拠点居住ですね。それならば、都内は狭い賃貸ワンルームでも良いかもしれません(都内はホテルがさすがに高いので、賃貸を考えます)。――ううむ、それなら、断捨離できないほどの家具や持ち物問題も解決できそうです。

そして、いま私が滞在中の仙石原は、ふだんの暮らしには困りません。スーパーもコンビニも、それぞれ徒歩10分以内のところにあります。お惣菜屋も何軒かあり、カフェや食堂も。観光客用に週末しか開けない店も含めれば、こじゃれたレストランもあります。町営温泉も徒歩圏にあり、利用料は町民は300円です(町外者は650円)。それに今やネットスーパーが充実してるので、生鮮食料品以外のものはネットで取り寄せればいいでしょう。もちろん、自家用車があれば、御殿場や三島、小田原に行けば、何でも揃うそうです(車で約30~40分らしい。ですが、老後はなるべく身軽に暮らしたいので、車がなくても日常的にはやっていかれることが重要です)。

交通の便も、箱根は、時間はかかりますが、比較的、整っています。さすがは観光地です。例えば、ここ、仙石原ならば、新宿行きと羽田空港行きの直行高速バスがあります。いずれも2時間半ほどかかりますが、新宿で2000円強、羽田で2500円。早朝深夜には便がないため、早朝の都内の予定や、早朝発の羽田便に間に合わせるのは難しいです。でも、日中にある都内の用事ならば、日帰りが可能です。実際、私はこの後、日帰りでお芝居の昼の部(マチネー)に行ってくる予定です。朝のバスで行って、劇場に直行し、終演後にまたバスで戻る、または電車で帰ることができます。

――ということで、二拠点生活は可能そうです。今、けっこう本気で考えています。いきなり東京の拠点を全部引き払って箱根移住するだけの勇気はありませんが、まずは二拠点から始めて、徐々に箱根に軸足を移すのが良いかも、……。いま、箱根の外輪山を見ながら、そんなことを考えてしまっています。ところで、二拠点居住といえば、お泊まりサブスクともいえる、全国のいろいろな拠点を泊まり歩ける多拠点居住を提供する会社が、最近はいくつかあります。そういう「お泊まりサブスク」をうまく利用すれば、箱根との二拠点居住ももっとお安く上げられるかしら? いやいや、多拠点居住の候補地が増えてしまうかしら?――次回の、お泊まりサブスクについてのリポートをお楽しみに。

●間取りクイズ

Q この間取り、どこが要注意でしょうか?