100万円!の売りマンション

もちろん箱根にも、お金持ち向けの高級マンションもあります(とはいえ、軽井沢ほど高額ではないかもしれませんが)。でも、古い物件が多いゆえのメンテナンス問題と、温泉があるがゆえの月々の維持費の高さが、箱根町のマンション価格の下限を押し下げているのかもしれません。実際、地元の不動産屋の店頭で、100万円!の売りマンションの広告チラシを見つけました。以下の物件です。

a) 100万円 ワンルーム、47平米、1階/4階建て、北西向き、1972年築、総戸数24戸、管理費33000円、修繕積立金6000円、バス停徒歩4分 「仙石原 白濁温泉掛け流し、箱根カントリーへ徒歩8分」
b) 100万円 1K、(おそらく)32平米、3階/3階建て、北西向き、北西・南西・南東の三面に窓がある角部屋、1974年築、総戸数33戸、管理費20000円、自主管理、バス停徒歩10分、「元箱根 芦ノ湖まで徒歩3分、温泉は源泉掛け流し」

不動産屋の店頭に並んでいた「100万円マンション」の広告。値段は魅力的だけれど、住むなら、マンション全体の管理状況(大規模修繕など修繕履歴と建物の現状、修繕積立金の積立額など)を、実際に見て確かめたい=神奈川県箱根町

100万円ですよ、100万円! もちろん、安いなりの欠点はあります。まず、築半世紀近い旧耐震の物件です。例えばaは、ゴルフ場には行きやすいでしょうが、バス停まではだらだらの坂道。いますでに管理費・修繕積立金で約4万円ですが、築51年ですから、今後もっと値上がりすること必至です。ことにマンション内に共同温泉があるので、このメンテナンスにお金がかかります(自宅で広い温泉に毎日浸かれるのは魅力的ですが。共同浴場なら風呂掃除もしなくていいですし)。風呂が古くなればなるほど、もっとお金が必要になることは想像に難くありません。

bは、要注意の「自主管理」物件です。築49年ですから、いろいろ補修や大規模修繕が必要なはずで、修繕積立金の明記がないのが気になります。管理費2万円ぽっきりで足りるとは思えません。現地を見ていませんが、もしかしたら修繕ができずにボロボロのマンションで、管理会社が逃げ出して自主管理になっているのかもしれません。また、芦ノ湖に近いのは魅力的ですが、バス停から10分も歩きます。しかも、リゾートマンションにはありがちなのですが、駐車場は全戸分の台数を確保していないので、車で行っても停められない可能性もあります。

さらに、地元で聞き込んだところ、上記とは別に、売値が30万円でも買い手のつかないマンションがあるとか。その物件は、山の中にあり、外観もボロボロなら庭も草ぼうぼう。管理費を値上げしたくても住民の反対でできず、管理会社もお手上げで管理を返上したいくらいだそうです。こうなると、「負」動産を持ち続けるよりも、ババ抜きのように誰かに押し付けて、売り逃げしたいだろうという現オーナーの気持ちも分かります。