QOLは高く、家賃はお得

別の物件も見てみましょう。同程度の広さの、一般のワンルーム賃貸物件と比べてみます。例えば、東京都中央区にあるG社の物件は、地下鉄駅徒歩6分、11平米(6.5畳)、水回り(風呂、トイレ、洗面台)付の東向き6階、2019年築(築4年! 新しい!)です。この部屋の月額は、家賃9万8千円+管理費9千円=計10万7千円。礼金9万8千円、敷金が10万7千円(うち退去時にクリーニング代として4万4千円が償却なので、返金されるのは6万3千円)です。償却された敷金と礼金も入れて、2年間トータルでかかるのは計271万円、月平均にすると11万2917円の計算になります。

これを周辺の普通の賃貸ワンルーム物件と比較します。例えば同じ駅で徒歩5分、20平米(洋間6畳)の4階、北西向き築21年のワンルーム物件は、管理費込みで月額8万3千円。敷金、礼金ともに7万1千円ずつかかり、ほかに、保証人代わりの保証会社に支払う保証料0.5ヵ月分、不動産業者への仲介手数料1.1ヵ月分(消費税込み)かかります。退去時のクリーニング代は明示されていませんが、それなりに取られるでしょう。2年間でかかる経費をひと月あたりにならすと、計約8万9700円になります。このワンルームですと、古くて向きが悪い分、シェアハウスよりは安く上がることになります。

ほかの物件も検討してみました。一覧にしたものが以下です。築年の古さ・浅さ、駅からの近さ・遠さ、部屋の向きなどで金額は多少前後しますが、グレードの良いマンションは、ワンルームといえど結構します。逆に、築年が古いとか、北向きとか、水回りが3点ユニットでくたびれているなどと、グレードを下げていけば、もっと安い物件も見つかります。でも、シェアハウスと同程度のグレード感と新しさを求めると、かなりの金額になってしまいます。

さらに、普通のワンルームには、快適な共用部分――ゆったりできるバースペースや広いダイニングキッチン、広い風呂や、リモートワークに最適なWi-Fi付きのワークスペースなど――はありません。これらを自分で備える場合の間取りの広さ分の家賃と、設備の購入・維持運営費を考え合わせれば、シェアハウスのほうがQOLは高く、家賃はお得、ということになるでしょう。

ワンルームの比較表

問題は、やはり入居者の年代でしょうか。G社のシェアハウス入居者の平均年齢は32歳で、多いのは20代後半から30代だそうです。その上の世代は、「賃料が高いところで30代、40代がメインのところもあります。賃料次第ですね」とS氏。