「ずっと住めるか」は分かりません
最後に、思い切って聞いてみました。もっと上の世代でも、シェアハウスに入れるんでしょうか? S氏曰く、「仕事でよく来るエリアにセカンドハウスを借りたり、単身赴任で入ったりしている方もいらっしゃいます。最高で62歳の方もいらっしゃいます」。セカンドハウスとか、アラ還とかも良いんですか?と聞くと、「逆にダメな理由がないでしょう」と言われました。そうかあ~。そうなんですね。ただ、保証会社の審査は必須で、その点、会社員じゃないフリーランスは「普通に厳しい」かも、とのことでした。単身者向けのシェアハウスは、単身であることは問題になりませんが、「フリーランス」が厳しいかもしれないのでした。
シェアハウス、きらきらしていそうで、良いんですけれどね。上述した通り、一人で普通に賃貸を借りるより、設備が豪華な分、お得感があります。それに、シェアハウスの若者コミュニティーに入れてもらえれば(実際には挨拶して顔見知りになる程度でしょうが)、気持ちが若やいだり、会社を離れたことで精神的に孤立して鬱っぽくなるのを防いだり、さらにはボケ防止にもなったりするかもしれません。何か困った時に、若者ならば近くで助けてくれそうです。
ただ、定借なので、今は借りられたとしても、「ずっと住めるか」は分かりません。普通の借地借家ならば「借りたもの勝ち」ですが、定借ならば契約満了で追い出されないとも限りません(次の再契約を結んでくれるかどうかは貸主次第、再契約してもらえなかったらアウトですから)。残念ながら、G社の物件では、高齢になった時に住処がなくなる心配は消えません。
とはいえ、我々アラ還にとってもシェアハウスは、時限的な仮住まいとして利用価値があるかもしれません。例えば、退職前の会社員の人が、社宅を出されたり家賃補助が切れたりするタイミングで、一時的にシェアハウスに住んでみるのはどうでしょう。それまでの荷物や家電を捨てて、身の回りを必要最低限にして、生活をぎゅっとコンパクトに圧縮します。無理やり「断捨離」して身軽なミニマリストになり、支出を見直すのです。
たとえ数年間でも、家賃を圧縮できれば、定年後の貯蓄の取り崩しを減らせます。共用部の家電や設備を使いながら、何を買うべきか、何が不要かを見極め、その後、いよいよ自分の部屋を探し、厳選して家電や家具を買うのです――老後への完璧な移行戦略になりそうじゃないですか? もちろん、シェアハウスの契約満了時に、まだ住んでいてもいいですよ、と言われればラッキー! 若者に混じって、住み続けちゃいましょう。