上手く喋れない野球のアナウンス

いま、時々野球の試合の場内アナウンスを任されることがある。中盤以降、「1(ピッチャー)が3(ファースト)、3が9(ライト)、6(ショート)が7(レフト)、7が…」と、
球審から激しい守備の変更と交代が告げられると、その都度アナウンスブースは大混乱を極める。

こうなるともう、途端に気を失ってしまって、倒れるなりどこかへ運んで行ってほしい私。動揺で目の前のシートがただのカオスにしか見えなくなって、いまだに熟練の野球母に正しい守備変更と交代を耳元で囁いてもらわないと、一言もマイクで喋れなくなってしまう。あんなにマイクが大好物な私が、球場のマイクの前ではアーもウーも喋れなくなる。まあまあな立派な球場の場内アナウンスのスピーカーからは、動揺して声なき助けを求める私の鼻息がフーガフーガ聞こえてくるばかりなのだ。

アナウンスマニュアル(写真提供◎大神さん 以下同)


でもそんなことばかり繰り返してきたせいで、私はいまだにまともに野球のアナウンスが上手にできない。
公式戦で背番号が加わると、打順と背番号と守備位置を完璧に間違えずに言える気が、これっぽっちもしないのである。

白状してしまうと、長男の中学時代のチームの時もこれが苦手で、なんとかかんとか避けて逃げ回って、ほとんどアナウンスを経験せずに終わってしまった。
元アナウンサーだったから野球のアナウンスが上手でしょう、とはどなたが仰った!?
実況、リポーター、インタビュアー、そのどれとも違う場内アナウンスを、わたしはここまで全く勉強してこなかった。
要はここまで「野球わからないから」と逃げまくっていたことなのだが、次男のチームでは母のアナウンスは必須なので、ここにきてそろそろ一人で喋れるようにならなければと思っているところなのである。