自分たちの足でまっすぐ歩いてと願うばかり
いま、各地で高校野球の夏季大会、甲子園につながる戦いが行われている。
どんな部活でも同じように全国の舞台につながる大会が行われる時期、3年生はこれをもって引退となるだけに、これまでで最高の結果を得るための最後の夏が始まっている。
でもその手前で、すでに夏の戦いに加わることのできなかった選手たちもいる。
ベンチに入ることができる人数は決まっているので、2年半近く全て野球に捧げてきた想いは同じでも、その想いにつけてやれる背番号が全員に行き渡ることはない。
翔大もこの夏、チームから背番号をもらうことはできなかった。
入学した時に思い描いていた夏とは、かなりかけ離れた季節をいま味わっている。
まだまだこんなところで終われないと、この先も野球を続ける意志は強い。さらにこの先の大学野球への期待を膨らませ、残り少ない現役高校野球を自分のできることで全うしようと、すでに気持ちを切り替えつつある。
ずっと頼もしい仲間と過ごしてきて、これまでになく強い刺激を与えられ続けてきた高校生活だった。野球だけではない、いろんな事を勉強代たくさん払って身につけてきた。今はチームが甲子園を目指して戦うために、最後の最後まで仲間達と一緒に、彼らのサポートに徹するんだそうだ。たぶん自身の中では立派な背番号をつけてベンチの裏にいるつもりなんだと思う。
父親は、自分の時に経験のない位置で息子が仲間のサポートに当たることを、どんな気持ちで見ているんだろうと、ふと思った。
一つたしかなのは、だんだんいろんな仕草や考え方が自分にそっくりになってきた2人の息子達が、こんなにも野球の道をせっせと自分の後から歩んできてくれること。
かなりかなりしあわせだと、感じていないわけがない。
険しくても息子達、私たちの助けが及ばないときでも自分たちの足でまっすぐ歩いてきてくれることを、親はひたすらひたすら願うばかり。
てか、うちの子たち、名前の一文字ずつを合わせると「大介」。こんなにもきっちり夫に似せて産んでおいた私を、そろそろ誰か褒めてはいただけないだろうか…。