居場所をつくるため保育園に入るも――
私は、和夫を連れて近くの民間保育園に行き、事情を説明して「園内の隅っこでもいいので、いさせてもらえませんか?」と頼みました。専業主婦なので無理な話だったかもしれませんが、とにかく周りにガヤガヤと同世代の子がいることが薬代わりになる、と思ったのです。
なんとか入園させてもらえましたが、先生に「朝からずっと泣いていて、今泣きやんだところです」と言われると、「これでいいのかな、どうしよう」と心がぐらついたものです。
そんな生活を1年半続け、次は大阪に転勤が決まります。再び、和夫の居場所をどうしようかと考えていたところ、15棟ある自宅マンションの中を、保育園の送迎バスが巡回しているのを見つけました。
さっそくそのキリスト教系の保育園を訪ね、園長先生に「落ち着きのない子でご迷惑かもしれませんが、お友だちのいるところで過ごさせたいので」と、入園を懇願したのです。まるでマリア様のような先生で、「男の子はみんなそんな感じですよ」と快諾。
しかし1週間後、担任の先生から「和夫くんのことで、もっとお話を伺いたい」と呼び出しがあり、内心「やっぱりなぁ」と思ったのを覚えています。
それから1年半、担任の先生にはすっかりお世話になりました。卒園後は自宅からすぐの小学校に入学することに。
町内には小学校が3校ありましたが、どこも特別支援学級が設置されていました。和夫は希望すれば支援学級にも通えたと思いますが、友だちの助けを借りながら、6年生まで普通学級で過ごしたのです。