プロ野球選手とはこういうこと

ところで、
元木と結婚したとき驚いたことがある。
当時現役だった夫は、シーズン中あまり野球のことを家庭に持ち帰ってくることはなかった。
野球と言えば勝敗程度しかわからない妻だったので詳しいことはわからないが、むしろ、野球選手であることさえ感じさせない高速切り替えで、いつも試合からヤッホー!ただいまー!と家に帰ってきていた夫は、なんだか凄いと思う。

そんな夫がそのシーズンの最終戦の翌日に入院して、即手術をするのだと言いだした。あらま。そんなに足の怪我は大変だったんだ、なんとかここまで持ち堪えたんだと、改めて気の毒に思った。

でもこれも、少しでも長く現役としてやっていくため。

何年か後に肩を負傷した時は、手術、リハビリという時間ももったいないと、夫は入院さえしなかった。今もよくついていない肩の骨はそのまま盛り上がっている。当時は珍しかった高圧酸素カプセルに毎日入って、あっという間に試合に戻っていたのを覚えている。

実際に最終戦を終えた翌日に入院してみると、なんと昨日の試合までとても元気そうに試合に出て活躍していた、あの選手もこの選手も、今日は一緒に入院して手術、という状態で病院でお会いした。みんな同じ思いで、シーズンの変わり目までなんとか堪えてきたんだなぁ…と改めて厳しい世界であることを知った。

プロの選手というのはこういうこと。
最後まで痛みを隠してゴールテープを切り、そのあと本当にパッタリ倒れてそのまま入院、手術なのだ、と驚いた。