年齢を重ねるにしたがって表れるさまざまな体の不調。 なかでも聴力の衰えが生活に及ぼす影響は大きく、 補聴器を使用することは、有効な選択肢の一つです

「補聴器はいきなり買わないで」

お話を伺ったのは
マキチエ 代表取締役社長
平松知義さん

「話しかけられた時、聞き返すことが増えた」「家族から、テレビのボリュームが大きいと注意される」──。

日々の生活において耳の不調を抱えながらも、年のせいだからしかたがないと諦め、特に対策をしていないという人は多いのではないでしょうか。人間が外界を感知するための五感の一つである聴覚の働きの重要性を、創業78年の歴史を持つ国産補聴器メーカー・マキチエの平松知義社長は指摘します。

「たとえば旅先で風景を眺める時、私たちは滝の水音や鳥のさえずりなどの音も同時に楽しんでいますよね。食事の際、お肉がジュージュー焼ける音に食欲をそそられることも。

聞こえが変われば、景色も味も変わります。耳の不調を放置すると、生活の質の低下に繫がりかねないのです」(平松社長。以下同)

聞こえの不調により、周囲とのコミュニケーションに問題が生じるだけでなく、深刻な事態を招くリスクもあるそうです。

「会話が聞き取れないため、コミュニケーションを避けて家にこもりがちになる人も。また近年、『難聴は認知症の予防可能な最大の危険因子』であることが明らかになっています。何度も聞き返す人に対しては、周りの人たちが簡単な言葉で話しかけるようになる。すると、脳への刺激が少なくなり、認知機能も衰えてしまうそうです。ほかにも、耳鳴り、転倒リスクの上昇、背後から来る車の音に気づかないといったトラブルにも繫がります」

聞こえの衰えは自覚しづらく、しかも年齢を重ねるにつれて進行していくもの。しかし、適切なタイミングで耳鼻科を受診し、補聴器を使用する人は少数派だそうです。

「難聴者を対象とした調査によると、補聴器の所有率はわずか15・2%。認識のない軽度難聴者を含めると、普及率はさらに低くなると考えられます。補聴器が必要だと感じるおおよその年齢は72歳ですが、その時点でかなり聴力低下が進行しています」

 

補聴器はメガネと異なり、耳になじませるために調整していく必要があり、難聴が重度になるほど調整が難しくなるとのこと。だからこそ早めの対処が重要ですが、平松社長は「補聴器はいきなり買わないでください」と強く訴えます。

「聞こえが悪くなる原因は、加齢による難聴だけでなく、耳垢の詰まりや、腫瘍などの大きな疾患の可能性もあるので、まず耳鼻咽喉科で診察を受けてください。医師による聴力検査の結果に基づいて、初めて最適な補聴器を選ぶことができると、私たちは考えています」

※JapanTrak2022調査報告

“聞き逃し”に気がついたら

ひと口に耳鼻咽喉科と言っても、アレルギー専門、めまい専門の医師も。そのため、「補聴器相談医」がいる病院を選ぶことが大切なポイントです。

「補聴器相談医の認定を受けた医師(全国に約5000名)がいる医療機関で、認定補聴器専門店を紹介してもらう、もしくは院内の補聴器外来で相談をするのがおすすめです。補聴器装用時の検査を行う『補聴器適合判定医』がいる医療機関であれば、より安心でしょう。マキチエでは、全国34の認定補聴器専門店、約1500ヵ所の医療機関の補聴器外来で、専門知識を持つ『認定補聴器技能者』が医師と連携しながら相談を行っています」

では、どのような症状があった時に耳鼻咽喉科を受診すればいいのでしょうか。

「一般的には〝聞き逃し〟が生じた時と言われています。自覚症状がなくても、65歳になったら正確な聴力検査をしていただきたいですね。ご家族が気づきやすいのは、テレビの音が大きい、話が嚙み合わない、背後からの声かけに気づかないといったサイン。受診時にはご家族が付き添うと、医師とのコミュニケーションがスムーズです」

補聴器が必要と診断されたら、医師や認定補聴器技能者とじっくり話し合い、どこまで聞こえをよくするのか、目指すゴールを決めていきます。

「たとえば、仕事で多くの声を聞き取る必要があるのか、お孫さんとの会話を楽しみたいのか。生活環境によって選ぶべき補聴器は異なります。マキチエでは購入前に補聴器をお貸し出しし、ご本人やご家族に納得していただいてから商品を販売しており、購入後も安心・安全に使い続けていただくためのサポートも行っています」

最新の補聴器はデザイン性が向上し、カラーバリエーションも豊富に。機能も充実しているそうです。

「置き忘れた補聴器をスマホのGPS機能で探したり、転倒を検知してご家族に通知したりと、便利な機能を搭載した機種も。以前に比べて充電できる回数が大幅に増えたため、耐用期間も延びています」

補聴器の普及を通してマキチエが目指すのは、「元気なシニアを増やすこと」。

「2045年頃までは高齢者人口が増加し続けます。補聴器で“よりよい聞こえ”を取り戻すことが健康寿命の延伸に繫がれば、これ以上の喜びはありません」

マキチエは相談から購入までをサポート

  • まずは耳鼻咽喉科を受診

    聞こえに不安が生じたら、一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が認定する「補聴器相談医」のいる耳鼻咽喉科へ

  • 医療機関による聴力検査

    耳鼻科医による診察と、「純音聴力検査」「語音聴力検査」で、聞こえの状態を調べます

  • 補聴器販売員に相談。試聴・貸出も

    診断結果をもとに、「認定補聴器技能者」がそれぞれの希望や目的に合った補聴器を提案します

  • 補聴器お渡し後のサポート

    聞こえの調整をし、補聴器をお渡しした後も耳鼻科医と連携してアフターケアを行います


補聴器の種類

  • 耳かけ型(RICタイプ)
    スピーカーと補聴器が分離した人気の新タイプ

  • 耳あな型
    耳の中に納まり、マスクやメガネと併用しやすい

  • ポケット型
    液晶画面とボタンが大きく、操作が簡単

●お問い合わせ/マキチエ️
☎0120・666・283(9:00 ~ 17:00、土日祝日を除く)https://makichie.co.jp/