公園内を走っていると、いつも同じ人たちとすれ違うことに気づき、軽く会釈するようになった。そのうち話すようにもなり、お互いの走るフォームをアドバイスし合ったりする仲に。

ランニング仲間は年齢も生活スタイルも違う人ばかりで、会話の内容は走りに関することだけ。プライベートの話はほとんど出ないので、気楽だ。ひとりになりたくて始めたはずなのに、いつしかみんなと一緒だから楽しんでいる自分に気づいた。

実力がついてくるとレースにも出たくなる。初心者でも楽しめる大会は、探せばたくさんあった。日帰りで行けるところだけでなく、帰省がてら出場できる地方の大会や、自分でも入賞できそうな大会を狙う。公式サイトには過去の成績が掲載されているので、自分がどのくらいの位置で走れるかが一目瞭然だ。

私の場合、40歳以上女子のカテゴリーにはエントリーしない。40歳になったばかりの人と競っても勝てないからだ。50代の時は50歳以上の部、今なら60歳以上というカテゴリーに出場する。

地方の大会はストレスがなく、じつに気持ちよく走れた。規模が小さい分、更衣室をゆったり使えるし、トイレの待ち時間もゼロ。主催者もどこかのんびりしている。ゼッケンをもらうために受付に行くと「遠くから来てくれてありがとう」と言われ、胸が熱くなったこともあった。

地域を挙げてのお祭り感覚で楽しめ、参加賞として干し芋、米、梨、ぶどう、さくらんぼ、石けんなど、その土地の名産がもらえる。そのままリュックに入れ、家族へのお土産になった。ゴール後にふるまわれる豚汁やいも煮、コーンスープや焼きそばもおいしかったなあ。

大会へエントリーする時に、入賞賞品は何かまで調べていた私。ランニング友達からは「あなたはさしずめ、旅のさすらい賞品ハンターね」と笑われるが、旅行がてら好きなことを楽しめて、お土産ももらえて、なにより懸命に走って入賞すると、表彰台に上ってメダルまでかけてもらえる。

ふだん地味なオバサンからすると大変な経験だ。コロナが始まるまでは毎月のように市民マラソン大会に出場していた。