世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、40代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第21回は「ラジオ生放送の現場にいってみた」です。
3時間半の生放送に出演
少し前の2月のことだ。我が地元・静岡県のFMラジオ局『K-MIX(F M静岡)』の『K-MIX GOOD-TIE!』という番組の生放送に出演した。2月は毎週木曜のマンスリーゲストとして、東京からオンラインで生出演。そのトリを飾る当日、東京から静岡県まで私が移動をしたというわけだ。
ここ一年でありがたいことに、さまざまなラジオ番組に呼ばれているものの、3時間半の生放送は初体験。どうなることやらと期待と緊張を半分ずつにしながら、局へ向かう。
“おばさん”と言われる年代になると初体験のことが極端に減り、生活に潤いと刺激がなくなってくるという。そんな話を諸先輩方から聞いていたので「そんなもんか」と、尻を掻きながら聞いていた。ところがどっこい、だ。
私みたいな文章を書いたり、編集をしたり、物を売ったりと不安定極まりない生活を送るフリーランスには、おばさんになっても毎月、何かしらの初体験が訪れる。昔取った杵柄なんぞ、全く通用しない。毎年新しく杵柄を買い替えて、初体験に臨む(淫靡な意味ではなく)。それが今回の私にとって、長尺の生放送となった。
ちなみに生放送で私が話す内容は「テレビドラマ」について。中学生くらいからずっと連続ドラマを鑑賞することが趣味だった私が、いつの間にか関連するコラムを執筆するようになり、本を出版して、ラジオで偉そうに話す識者になった。人生とは本当に何があるか分からない。今回はそんなおばさんによる初体験日記。スタジオの放送を妄想しながらお楽しみください。