世間から「大丈夫?」と思われがちな生涯独身、フリーランス、40代の小林久乃さんが綴る“雑”で“脱力”系のゆるーいエッセイ。「人生、少しでもサボりたい」と常々考える小林さんの体験談の数々は、読んでいるうちに心も気持ちも軽くなるかもしれません。第29回は「高齢者の免許を取り上げてくれ」です。
ニュースに震える
今回はのほほんエッセイでもなく、真面目な話になる。
ニュースから連日のように聞こえてくる、交通事故の一報。ドライバーの加害者が高齢で「何が起きたのか分からない」「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」と、常套句のようなコメントが流れてくると、身の毛がよだつ。
私の父親も80歳が迫っているというのに、いまだに免許返納をせず、田舎で車を運転している。実家のある土地はいつの間にか高齢者たちが住む町になった。バスの本数も極端に減少、スーパーもコンビニも徒歩圏内にはないので、生活には不便だ。そんな町でもかつてのバブル期で栄えた時期に手に入れた、夢のマイホームなら手放したくはない。若い世代が抜けても、親世代は普通に運転をして、生活をしている。
内閣府の調査を読むと、高齢ドライバーによる交通事故件数は、平成21年から軒並み横ばいといったところだろうか。が、「75歳以上の高齢運転者は、操作不適による事故が28%と最も多く、このうちハンドル操作不適が13.7%となっている」という記述がある。つまり老化による、身体機能の低下によって起こる事故がほとんど。20〜50代の現役世代が運転している状況とは違うのに、走らせている鉄の塊は同じなんて、やはりおかしい。
「車を運転していたのは、80代の高齢ドライバーでした」
アナウンサーが淡々と読むニュース。明日、もし身内が事故を起こしたら……。