「グループ・スコーレ」の講座後のランチタイム。左手前が代表の利安和子さん(撮影:霜越春樹)
不安や心配ごとを共有できる仲間が近くにいたら、どれだけ心強いか――。ご近所同士で助け合える場を自ら作り、そこに集う人たちはどんな関係を築いているのだろう(撮影:霜越春樹)

<大阪府堺市「グループ・スコーレ」>
必ず誰かが世話を焼く

続いて関西地方に目を向けると、1997年から大阪府堺市の泉北ニュータウンで活動する「グループ・スコーレ」があった。「地域の中で老後を豊かに過ごそう」をモットーに、メンバーの多くが自宅を開放して各種講座を開催。高齢者同士が支え合う仕組みを作っている。

「講座といっても、目的は仲間づくりです。老後にひとりは寂しいですから。入会申込書に記された『あなたは何ができますか?』の質問に答えたら、下手でけっこう、さっそく講師をやっていただきます」。発起人で理事の利安(としやす)和子さん(80歳)は、そうおどける。

自宅を開放するため、防犯上、入会は完全紹介制。現在、女性が9割で、60~90代の202名のメンバーが集う。講座はジャズ、ズンバ、落語など65にものぼる。入会費は無料で、講座スケジュールや活動内容が載る月刊『スコーレ通信』の送料として年間1500円。

受講費は無料だが、「飲食をともにして初めて親密になる」をポリシーに、講座後に必ず開かれるお茶会の飲食費が500円、食事が用意された場合は700円を自宅提供者へ支払う仕組みだ。また、講座に参加するたびに1ポイントがもらえるポイントカードがあり、たまると1000円還元という特典もあるのだとか。

利安さんが「グループ・スコーレ」を始めたきっかけは、子育てが終わり、経営していた学習塾をリタイアしたことだ。やることがなくなり、焦燥感に苛まれた利安さんは、地元の有志が催す「女性の老人問題」の勉強会に出席。

『主婦が輝くとき』の著者であり講師の冨士谷あつ子さんから、「老後こそ生きがいが大切。学ぶばかりでなく、実践しなければダメ」と発破をかけられたという。