年々、肌の乾燥やハリ不足が深刻になってきた。今の食生活で栄養が足りているか自信がない。疲れが残りやすくなった……。そんな悩みに、体の内側からサポートしてくれるインナーケアが話題です。効果が出るメカニズムから上手な活用法、注意点まで、専門家がアドバイスします(取材・文:片岡えり イラスト:きりふみこ)
体調が悪い時は吸収しにくく効果も半減
肌も体も若々しく健康でありたいと願う人が増え、インナーケアが注目されるようになってきました。一方で、効果に疑問の声があるのも事実です。そこで、体内美容に詳しい皮膚科専門医の岩本麻奈先生にお話を伺いました。
「大前提として、サプリメントやドリンクは栄養補助食品で、薬ではないということ。だから飲んですぐに効くことはありませんし、体調を崩している時の摂取もおすすめできません。特に胃腸の状態が悪い時は成分の吸収力が落ちるため効果を感じにくく、むしろ体に負担になることも。補助食品に頼りすぎず、胃腸に優しい食事から必要な栄養素を摂ることを基本にしましょう」
インナーケアの目的は、マイナスをプラスにするのではなく、継続することで1から5にアップさせるイメージなのかもしれません。それを理解しつつ、成分が吸収されて体の各組織に届くメカニズムを教えてもらいました。
「食事も同じですが、口から摂った栄養は食道を通って、胃で分解・消化されてから、小腸で吸収されます。その後、血液やリンパ液を通じて肝臓に運ばれ、代謝・貯蔵・解毒などを行ったあと、血液によって全身の組織や細胞に運ばれるのです。生命に必要な組織から順に効果を発揮する、と考えるといいでしょう。ただし、一部の栄養素は、特定の受容体を介して目や肝臓などの組織に選択的に取り込まれる場合もあります」(岩本先生。以下同)
同じ成分でも、配合量が少なければ、届く量も当然減るもの。とはいえ、配合量が多いからいいというわけでもありません。
「吸収の度合いは条件によりまちまちなので、科学的な根拠や臨床試験の結果があり、信頼できる製品を選ぶことが大事です」