経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「増えない年金、対抗策は」です。(イラスト:さかがわ成美 「婦人公論」2025年4月号より掲載)
増えない年金、対抗策は
5年に1度、年金を見直す年金制度改革。今回の焦点は、厚生年金保険料の積立金を活用して、物価や賃金の上昇率よりも給付水準を低く抑える期間を短くすることで、実質的に基礎年金を増やすというものでした。
けれど、これを実施するには1~2兆円の国庫負担が毎年必要になるため、最終的には2029年以降に持ち越されました。
ですので、年金が増えるまでじっと待つより、働けるうちは働くことも大切かもしれません。総務省の労働力調査(2023年)によると、65~69歳の働く男性の割合は61.6%、女性は43.1%。70~74歳では、男性42.6%、女性26.4%が働いています。収入さえあれば、将来の不安は和らぐのではないでしょうか。
ただし、この世代の方が働く時は、一定の収入があると厚生年金がカットされる「在職老齢年金制度」にご用心。
現在は、賃金と基礎年金を除いた厚生年金の合計額が月50万円を超えると、厚生年金部分が減額されるようになっています。ただ、働く方の増加に伴い、厚生労働省はこの額を、26年4月から月62万円に引き上げることを検討中です。