単身者にとって頼りになるのはやはりお金。その分、老後資金が足りるのか不安を持つ人も多いでしょう。生活費のほかに、とくに備えておきたいポイントを、ファイナンシャルプランナーの豊田眞弓さんに聞きました。(構成=山田真理 イラスト=カワムラナツミ)
イメージする暮らしに月々いくらかかる?
一般的に年金の支給がはじまる65歳以降を老後とすると、その期間はおよそ30年(ここでは95歳まで生きると仮定)。そのための資金がいくらあれば安心できるかは、どんな生活を送りたいかによって変わってきます。
60歳以上の単身世帯の平均支出額は月約16.2万円(2018年「家計調査年報」)。これに対し、年金を含む実収入の平均は月12.3万円。月約4万円の不足を貯蓄からまかなっていることになります。月4万円×12ヵ月×30年で、1440万円。生活費だけでこれだけかかり、ほかに後述する医療費や、住まいや介護の費用などが必要になります。
もっとも、これはあくまで平均値。老後の生活費に加え、自分がどんな生活を送りたいのかをイメージしてみましょう。受け取れる年金で月々まかなえるか、赤字になるならいくら程度かがわかります。
一方で現在の自分の資産はどのくらいなのか棚卸しを。預貯金、投資信託、貯蓄型保険、不動産などのほか、住宅ローンなどの負債もあれば書き出します。自分がイメージする老後を送るのにいくら不足しているのか、現実的にどんな生活ができるのか、それによって、これからの貯蓄の目標額も見えてくるでしょう。
試算の結果、明らかに資金不足ならば、節約、投資などの対策を始めましょう。また、定年後も何らかの形で働き続けるという選択は、社会とのつながりを持つ意味でも、大きなメリットがあります。