経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「高齢者は気をつけて!毎月分配型投資信託」です。(イラスト:さかがわ成美 「婦人公論」2025年7月号より掲載)
高齢者は気をつけて!毎月分配型投資信託
「プラチナNISA」が創設されるのでは、と話題になっています。これは、「新NISA」では買えない「毎月分配型投資信託」が、65歳以上限定ながら非課税で買えるのが特徴。
仕組みは通常の「新NISA」と同じで、利益が出ても税金を支払う必要がないうえ、「毎月分配型投資信託」では、必ず決まった分配金がもらえます。詳細はまだ決定していませんが、たとえば240万円を投資し、利回り5%で運用したら、毎月必ず1万円の分配金が出るイメージです。
ただ、注意しなくてはいけないことも。この商品は運用で1万円の利益が上がらなくても、約束した1万円は必ず支払われます。では5000円しか利益が出なかったらどうするのか。その時は元本を5000円ぶん取り崩すことになります。
ですから、必ず分配金は出るのですが、運用が不調だと、元本がどんどん小さくなっていく「タコ足配当」に陥りかねません。
実際に、1997年に発売され約6兆円も売り上げた毎月分配型投資信託の元祖「グロソブ(※)」という商品は、当初は「1000万円預けると月6万円の分配金」という設定でした。けれど、それだけの配当は稼げずに分配金がどんどん下がって、現在は月5000円しか分配されていません。
しかも、最初に1000万円投資した人は、「タコ足配当」で現在は500万円まで目減りしています。結果、解約が殺到してさらに資産が減少し、ファンド自体も消滅寸前の状況。
※グローバル・ソブリン・オープン(毎月決済型)
こうしたことがあっても、「年金の上乗せ商品」という勧誘文句は、老後に不安を抱く方々には魅力的に見えるようで、同様の商品が続々と出てきています。