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よかれと思って続けていた自己流のお手入れが、実は髪や頭皮を傷めていたということは珍しくありません。意外と知らないヘアケアの疑問に、専門家が答えます(構成:浦上泰栄 イラスト:わたなべさちこ)

頭皮環境を改善して元気な髪を手に入れる

私たちのクリニックには、「頭頂部や分け目の地肌が透けて見える」「おでこの生え際が後退してきた」「細い毛や白髪が増えた」などの悩みで、幅広い世代の女性が相談に来られます。

髪質の変化は30代ごろから始まりますが、40~50代になると抜け毛や薄毛、髪のうねりなどの悩みが一気に増加。これは女性ホルモンの減少によって髪が生まれ変わるサイクルが乱れ、十分に育つ前に抜け落ちたり、毛球の形が変化して髪質が悪化したりすることが原因です。

白髪についてはメカニズムが明らかになっていない部分も多く、現在の医療では白くなった髪を元に戻すことはできません。若いころのつややかなカラスの濡れ羽色の髪を取り戻すことは難しいのも事実。しかし、生活習慣やヘアケア方法を見直して、今ある髪を元気に蘇らせることは可能です。

美髪のためにもっとも重要なのが、髪を育む土壌ともいえる頭皮の状態。現代女性の頭皮は、食生活の偏りや運動不足、パーマやカラーリングなどによってダメージを受けています。頭皮の環境を整えるためには、シャンプーや髪の乾かし方から日々の生活習慣まで、幅広く見直すことが必要。

栄養バランスのよい食事をしっかりとる、ウォーキングなどの運動で血流を高めて頭皮まで栄養を行き渡らせる、成長ホルモンの分泌が高まる午後10時~午前2時に合わせ、日付が変わる前に就寝する、外出時は帽子や日傘で紫外線から守る。まずはこれらを心がけましょう。

日頃のお手入れ方法について誤解しているケースも見受けられるので、次ぺージから正しいヘアケア法を解説します。髪に自信が持てると、表情が明るくなり、おしゃれやショッピングを楽しむなど、生活スタイルまで変わっていくはず。ぜひ日々のお手入れを見直して元気な髪と頭皮を手に入れてください。