(『しあわせな結婚』/(c)テレビ朝日)
不適切な昭和のオヤジを演じたかと思えば、朝ドラでは謎のパン職人役に。高い演技力と独特の存在感で多くの作品で活躍する俳優、阿部サダヲさんが、7月17日にスタートするドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日系、木曜午後9時~)に主演する。阿部さん演じる原田幸太郎は独身主義の弁護士。「結婚しない」と宣言してきたが、ある日ミステリアスな女性・ネルラ(松たか子)と運命の出会いを果たし、電撃結婚することに。しかし妻には大きな秘密があって――。「サスペンスドラマはあまり経験がないので、演技をするのが新鮮です」と語る阿部さんにインタビューした。(取材・文:婦人公論jp編集部)

『恋する母たち』以来の大石作品

<脚本の大石静さんは、ホームドラマから恋愛ドラマまで多彩な物語を生み出してきたヒットメーカーとして知られ、昨年は大河ドラマ『光る君へ』を担当。阿部さんが大石さんの作品に出演するのは、話題になった柴門ふみさんの漫画を原作としたドラマ『恋する母たち』(TBS系、2020年)以来になる>

前回大石さんとご一緒した『恋する母たち』では、落語家だけれどちょっとセクシーな男をやらせていただいて意外とほめられました(笑)。大石さんの作品は魅力的な女性が多い。女性が自由で、生き生きとしていて、会話のおもしろさがあると思っています。

大石さんにあまりサスペンスのイメージがなかったので、最初に『しあわせな結婚』のお話をいただいた時は意外に感じました。

本格的な弁護士役も初めてです。ワイドショーは好きでよく見ていますが、コメンテーターを実際に自分がやることは一生ないと思うので、ぜひ演じてみたいと思いました。

<幸太郎は、元検事で現在は弁護士として働いている50歳。朝の情報番組のコメンテーターも務め弁護士なのかタレントなのかわからないほどの活躍ぶり。一方で法の番人として弁護士の仕事には真面目に取り組んでいる。独身主義だった幸太郎が入院中に、松さん演じるネルラと出会い、電撃結婚するところから物語が始まる>

大石さんならではのリアルな会話が繰り広げられます。取材とかじゃない限り、普段の会話って、聞かれたことと全く違うことを答えるようなことってありますよね。実際にありそうなリアルな会話です。幸太郎と昔付き合っていた恋人とのやり取りも出てくるのですが、ぎくしゃく感もうまいですし、やっぱりちょっと色気がある。

脚本のト書きでも、「昨日の夜を感じさせる寝方」とか書いてありました。監督が「多分昨日腕枕をして寝たんだろう」と解釈しましたが、1行だけでもすごく考えさせられますね。