この舞台のエネルギーはすさまじい
神野:私たちお互いにお互いを知らないので、今日のインタビューを通じて知っていきたい。この子、一体何を言うんやろと楽しみにきました。
九条:あんまりハードルを上げるのはやめてください。
神野:今回の舞台のメンバーの中で一番イジりやすい人として、目をつけているんです。(笑)
九条:そうだったんですね、恐縮です。稽古が忙しくてあまりお話しできる時間はなかったですね。僕は、神野さんの生歌の迫力に日々圧倒されています。
神野:舞台の見どころはなんと言っても19曲もの歌です。服部先生によって作曲された歌の数々は現代の日本のポップスの礎になったような、驚くべき発想の歌詞、メロディ。歌っていてとにかく楽しいし、歌い甲斐があります。
九条:僕の好きなORANGE RANGEの全盛期のアルバムが18曲なのに、神野さんは出ずっぱりで休みなく19曲…凄すぎます。
神野:この舞台のエネルギーはすさまじいよね。戦前・戦後の日本は、今の時代とは次元が違う困難の中にありました。「食べるものがない」だとか、あたり一面焼け野原っていう「ごちゃ混ぜ」のカオスから立ち上がっていく日本人の姿が描かれています。そのエネルギーを存分に感じてもらえたら嬉しいですね。
九条:僕は、シヅ子の両親がもらい子を引き取る場面が好きなんです。「ま、ええか〜」って言って。あの時代の大らかさを象徴するようなシーンだと思いました。
神野:貧しかったはずなのに、あの時代の人たちは時に大胆で、優しいですよね。私が好きなのは『大空の弟』という歌です。この歌、服部先生の楽譜だけが残されていて笠置さんの声で吹き込まれている音源がない。私のアルバムにも収録されていません。『SIZUKO』を通してしかお聴きいただけないこの歌をぜひ生で聴いていただきたいです。
九条:『SIZUKO』の歌はJAZZですよね。僕はJAZZが好きで、いつもお風呂ではJAZZを聴いているんです。
神野:そう『SIZUKO』の歌は、昭和歌謡というより、日本のジャズやと私も思う。服部先生が日本独自のJAZZを作りたくて作った世界。外国のフェスに持って行ったら、今の時代でもきっと受けると思うんです。