発端は金沢
松本さんと出会ったのは2年ほど前。あるコンサートの入場のため並んでいるときに、共通の知人を介して知り合いました。意気投合して交流するようになったんです。松本さんが石川県の観光大使を務めていて、私が北國新聞(本社・金沢市)に連載を持っていたこともあり、ご縁を感じました。
「2人で何かしたい」と話していた時、2024年元日の能登半島地震が起こったんです。「金沢とも深い縁があるし何かできることをしたい。少しでも被災地に心を寄せたものを」と考えて、24年10月に金沢でイベントを開きました。それが『どっちもどっち』の1回目です。
松本さんの仕事も私の仕事も、注文があって初めて成り立つものですが、『どっちもどっち』は、自分たちで企画しました。彼はピアノで作曲をしていて、私は言葉を扱う仕事のため違う分野だから、トークとピアノを組み合わせてできることを考えました。
お客様に舞台に上がっていただいて松本さんと連弾をしていただいたり、『どっちもどっち』のために作ったオリジナルソング『会いたい』の歌詞をスクリーンに映して、お客様と合唱したりしました。舞台に飾ってあった花を1株1株、お客様にお渡しして。少し立ってもらったり、体を動かしてもらったりしたほうが、お客様も楽しめるし、私たちのイベントらしいかなと思ったんです。
「金沢の人はシャイで奥ゆかしいからあまり反応はないかも」とイベント前に言われていたのですが、ふたを開けてみたら、みんなすごくノリが良くて笑ってくれました。
イベント後、松本さんとは「できるだけ小規模のライブ構成にして、ピアノ1台あれば行けるようにしたい。マイクがなければ自声でできるような規模で開催したらどこだって出前に行けるよね」と話していたんです。そうしたら今回、よみうり大手町ホールでお声がかかりました。