松本俊明さん(左)と阿川佐和子さん(c)枦木功
作家・エッセイストの阿川佐和子さんとMISIAの「Everything」「明日へ」などを手掛ける作曲家兼ピアニストの松本俊明さんによる、音楽バラエティーショー『阿川佐和子と松本俊明のどっちもどっち』が10月4日、東京のよみうり大手町ホールで開かれる。「言葉」と「音楽」のプロ2人の魅力が詰まったイベントで、阿川さんと松本さん2人のトークをはじめ、阿川さんによる著書の朗読、松本さんによるピアノ演奏など盛りだくさんの内容。もともとは能登半島地震の被災地のために始まったイベントで、今回が2回目になる。阿川さんに東京公演への思いを聞いた。(取材・文・婦人公論.jp編集部)

発端は金沢

松本さんと出会ったのは2年ほど前。あるコンサートの入場のため並んでいるときに、共通の知人を介して知り合いました。意気投合して交流するようになったんです。松本さんが石川県の観光大使を務めていて、私が北國新聞(本社・金沢市)に連載を持っていたこともあり、ご縁を感じました。

「2人で何かしたい」と話していた時、2024年元日の能登半島地震が起こったんです。「金沢とも深い縁があるし何かできることをしたい。少しでも被災地に心を寄せたものを」と考えて、24年10月に金沢でイベントを開きました。それが『どっちもどっち』の1回目です。

松本さんの仕事も私の仕事も、注文があって初めて成り立つものですが、『どっちもどっち』は、自分たちで企画しました。彼はピアノで作曲をしていて、私は言葉を扱う仕事のため違う分野だから、トークとピアノを組み合わせてできることを考えました。

お客様に舞台に上がっていただいて松本さんと連弾をしていただいたり、『どっちもどっち』のために作ったオリジナルソング『会いたい』の歌詞をスクリーンに映して、お客様と合唱したりしました。舞台に飾ってあった花を1株1株、お客様にお渡しして。少し立ってもらったり、体を動かしてもらったりしたほうが、お客様も楽しめるし、私たちのイベントらしいかなと思ったんです。

「金沢の人はシャイで奥ゆかしいからあまり反応はないかも」とイベント前に言われていたのですが、ふたを開けてみたら、みんなすごくノリが良くて笑ってくれました。

イベント後、松本さんとは「できるだけ小規模のライブ構成にして、ピアノ1台あれば行けるようにしたい。マイクがなければ自声でできるような規模で開催したらどこだって出前に行けるよね」と話していたんです。そうしたら今回、よみうり大手町ホールでお声がかかりました。