サン・ピエトロ大聖堂
テヴェレ川の紅葉とサン・ピエトロ大聖堂(撮影:富井義夫)
133の国と地域を旅して、625ヵ所もの世界遺産を訪れている写真家・富井義夫さん。40年以上にわたって世界中を巡ってきた富井さんによる、『婦人公論』での新連載「世界遺産を旅する」。第7回は、「バチカン市国」をご紹介します

希代の芸術家が築いた
宗教と歴史と美の殿堂

バチカン市国<
バチカン市国

約14億人の信者数を誇るカトリックの総本山、バチカン。世界で唯一、国全体が世界遺産に登録されています。広さは、約0.44平方キロメートルと皇居よりも小さい面積。そこにおよそ900人が暮らしているのです。

最小の独立国ながら、この地にある大聖堂は世界最大級。象徴的なクーポラ(円蓋)は、かつて数キロメートル先からも輝いて見えたといいます。

広場や大聖堂の建築を手がけたのは、バロック芸術の巨匠・ベルニーニやミケランジェロ。なかでもミケランジェロは、70歳を過ぎてから無償で仕事を請け負い、晩年の17年間を捧げたそうです。