岡山天音さん
岡山天音さん主演のNHK夜ドラ『ひらやすみ』(総合月~木、午後10時45分~)が11月3日、スタートする。原作は真造圭伍さんによる同名人気漫画。岡山天音さん演じるヒロトは29歳、元俳優でお気楽な自由人だ。近所のおばあちゃんから譲り受けた東京・阿佐ヶ谷の平屋で、いとこのなつみ(森七菜)と2人暮らしを始める――。原作漫画のファンでもあるという岡山さんに作品への思いや阿佐ヶ谷での思い出について聞いた。(取材・文・婦人公論.jp編集部 油原聡子、撮影:本社・武田裕介)

平屋の魅力

<ひらやすみの舞台は阿佐ヶ谷。人の温かさを感じさせる独特な空気感の街だ。近所に住むおばあちゃんから、平屋を譲り受けたヒロト。上京してきたいとこのなつみと一緒に住むことになる。ヒロトたちが暮らす平屋は、スタジオセットではなく実在の建物で撮影が行われ、リアルでありながら少しノスタルジーを感じる物語の世界を見事に表現した>

(『ひらやすみ』/(c)NHK)

僕は国立の出身で、阿佐ヶ谷には縁があるんです。近くに友達が住んでいたので、高円寺や阿佐ヶ谷周辺で16歳ごろからよく買い物をしたり、遊んだりしていました。原作には阿佐ヶ谷の実在の場所が登場するので、ドラマでも原作に忠実に同じ場所で撮影させていただいたところもあります。

俳優の仕事をしているからか、日差しの入り方や空気で画面越しでも何となく「セットかな?」と分かってしまう時があるんです。実在の平屋で撮影できたことで作品の説得力が増したように感じました。

岡山天音さん

『ひらやすみ』は生活者を描いた作品なので、照明や美術などスタッフのみなさんがプロの技術を駆使して、阿佐ヶ谷に住んでいる青年と一緒に暮らしている大学生の女の子の生活を作り上げてくださいました。家の中はおばあちゃんが使っていた家具や道具が残っています。そこにヒロトたちの生活が混ざって新しい色を作りだしている。3人の痕跡がおりのように積み重なって、どんな人たちがどういう時間を過ごしてきたのかが伝わってくる。おばあちゃんの痕跡を感じることができたのは、ヒロトを演じる上で力になりました。

僕はこれまで平屋に住んだことがなかったので、この撮影が平屋デビュー。かりそめですが平屋で生活してみて、時間との付き合い方が変わる感覚がありました。縁側には魔力がありますよね。

ふと呼吸するために立ち止まりたくなるような、そんな気分になる場所。スローな感じが気に入ったので、将来は平屋に住んでみたいです。『ひらやすみ』の作品が持つ効能かもしれませんが、副交感神経を優位にしてリラックスさせてくれるような気がします。