タイタンの太田光代社長
タイタンの太田光代社長
連れ添って30余年、独特の夫婦関係を築いているのが爆笑問題の太田光さんの妻で、芸能事務所「タイタン」の社長、光代さんだ。事務所独立騒動で窮地に陥った爆笑問題の再起をかけ芸能事務所を立ち上げた光代さん。光さんとの夫婦関係をはじめ、不妊治療や宗教を信仰していた母のことまで波乱万丈な半生を語った新刊『社長問題! 私のお笑い繁盛記』(文藝春秋、構成・石戸諭さん)を出版した。仕事仲間でもある夫との関係やすれ違い、夫婦の危機を何度も乗り越えてたどりついた境地とは――。光代さんに聞いた。(取材・文:婦人公論.jp・油原聡子 撮影:本社・奥西義和)

妻であり社長であり

太田とは夫婦というだけではなく、社長と所属タレントという関係です。お付き合い中に私の家に彼が住んでいたころや結婚した当初は楽しかったですね。でも、会社を始めて関係が変わりました。太田の夫としての魅力ですか?あんまりないんですよね。(笑)

<光代さんは東京都出身。太田プロダクションに所属し、モデルやタレントとして活躍していた時に、太田光さんと交際。1990年7月に爆笑問題の事務所独立騒動が起こり、その秋に光さんと結婚。1993年、独立騒動で仕事がなくなった爆笑問題のため、光代さんが芸能事務所「タイタン」を立ち上げた> 

妻ではなく、初めて「社長」として太田に接したのは、独立後初となる爆笑問題の単独ライブを企画した時です。グダグダ言い訳をしてやりたがらない2人を一喝しました。

太田と私はタレント同士だったら、とっても仲が良かったと思います。でも社長とタレントですし、仕事先の人に信用してもらわなきゃいけない。タレントは知らなくていいことの方が多いんです。夫である太田に全部伝えるというのはよくない。そういう意味では、太田が疑心暗鬼になったこともあるでしょうけれど、それは仕事を円滑に進めるためだから、別に間違っていたとは思いません。

ただ、社長になった後でも、たまにですが「妻として」という思いはどうしても出てくる。寂しいんでしょうね。社長業は孤独なので。社員にも言えず、自分でなんとかしなきゃいけないことも多いけれど夫にも話せない。そういうときに、内容は言えないけれど違った形で太田に甘えようとしても、甘えさせてくれないんです。太田は甘えてはきますけど自分が甘えているとも多分思ってない。葛藤だらけでした。けんかも多かったですね。